SNSの「ウケる物語推し」が招く「怒り消費」依存症 旧石器時代と同じセンセーショナルな悪者探し

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炎上の導火線となるのは、旧石器時代から変わらぬセンセーショナルな「悪者探し」のストーリーです(写真:bino/PIXTA)
陰謀論、フェイク・ニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーが「ストーリー」を拡散させ、事実と作り話を区別することが困難になりつつある現代。
このたび、上梓された『ストーリーが世界を滅ぼす──物語があなたの脳を操作する』を、『人はなぜ物語を求めるのか』などの著作もある文筆家の千野帽子氏が読み解く。

ネット右翼もリベラルも「陰謀ストーリー」漬け

この2カ月、あなたは、旧称「統一教会」をめぐるストーリーを、どれくらい浴びたでしょうか。

『ストーリーが世界を滅ぼす──物語があなたの脳を操作する』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

この2年半、あなたは、新型コロナウイルスの由来やワクチンや自粛をめぐるストーリーを、SNSでどれくらいシェアしたでしょうか。

また東京オリンピック関係者の不祥事とか著名人や広告の「不道徳」「差別的」とされた言動・表現を舌鋒鋭く批判するツイートに、どれくらい「いいね」をつけたでしょうか。

この11年半、あなたは、福島を「二度と住めない土地」「農水産物を口にすることができない産地」と決めつけるストーリーを、どれくらい目にしたでしょうか。

僕もあなたも「ストーリー」漬けです。ここらでちょっと休みませんか。

2022年7月8日、安倍晋三元首相が演説中に銃撃され、命を落としました。

それから10日ほど経った7月中旬。ワイドショーやネットニュースは、狙撃実行犯の供述で名指された宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧略称・統一教会)と安倍政権との関係をめぐるストーリーで、蜂の巣をつついたようでした(この文を書いているいまもです)。

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