NHK「ネット受信料は妥当か」議論で起きている事 自民党と旧統一教会の関係を報道しない事情
NHKに批判的な人々は、受信料は見たい人だけが払えばいい、スクランブルをかけて見たくない人は見られなくすればいい、と放送に関して言っている。ネット業務も同様に、IDとパスワードで受信料を払ってる人に限定すればいいと言ってきそうだ。実際、今のNHKプラスは受信料を払っている人だけがIDを与えられる仕組みだ。
NHKは有料メディアになってしまう
ただそうなると、NHKは公共メディアではなく、有料メディアになってしまう。あまねく国民に重要な情報を届けるのが公共メディアだ。料金を払う人だけのメディアはWOWOWなどと同じポジションになってしまう。すると会員が好むコンテンツに偏って、報道などを届ける意味がなくなるかもしれない。
ネットの本来業務化の議論は、そんなふうにNHKがもともと抱えていた矛盾を露呈してしまう。すべての国民に情報を届けるのが存在意義なのに、受信料を払わねばならない。これまでテレビは高い保有率があり少ないチャンネルの1つがNHKだったので受信料制度をなんとなく受け入れていた。ネットの時代になった今、そもそも1つのメディアがすべての国民に情報を届けられるのか。どこかに矛盾が出てきてしまう議論に、結論を出せるのだろうか。だが一方で、いつか手をつけなければいけなかったテーマでもある。いま議論せよというのは、正しいと言えば正しい。
実は欧州では公共放送の受信料について見直す議論が今年、活発になってきた。まずフランスでは再選されたエマニュエル・マクロン大統領が受信料支払いをなくしてしまった。これは国の財政で賄うことにしただけで国民負担は変わらないのだが、無料になった感覚になるだろう。
イギリスのBBCはNHKが手本にしてきた公共放送だが、全面的に見直す白書が今年4月に英国政府から発表された。メディアの激変にも触れて受信料の話だけではなく、公共放送のあり方そのものを議論すべきとの提言だ。
これを受けて5月にはBBCのティム・デイヴィー会長が改革案を早くも発表。「デジタルファーストのBBCを構築する」と宣言した。なんともスピーディーな流れだ。
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