岸田首相「逆風4点セット」の窮地でも強気貫く事情 政権の命運を決める安倍氏の国葬まで1カ月

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お盆前の電撃人事で第2次岸田改造内閣を発足させた時点で、現在の状況を予測した政府与党首脳はいなかった。奇襲作戦ともみえる人事だったが、結果は安倍派も含め自民党内各派に配慮した人事で、多くの幹部が「合格点」と評価した。

しかし、暗転はその直後から始まった。安倍氏銃撃事件で再認識された旧統一教会の「反社会的活動」への国民の不安、不満が、明確な対応を示さない岸田政権に襲いかかった。「関係を絶つ」はずの党・内閣人事も、結果的には、4割を超える新内閣の閣僚・政務3役や党役員の旧統一教会との「一定以上の関わり」が、メディアなどの調査で次々判明。「旧統一教会内閣」(立憲民主)と批判される状況を招いた。

岸田首相の“命綱”でもあった内閣支持率の急落には、官邸周辺もうろたえた。新型コロナで療養中の首相は22日夜、オンラインでの記者団との質疑で、支持率の急落について「国民からのご指摘については真摯(しんし)に受け止めなければならない」と反省の弁を述べた。

原因は旧統一教会の問題だけはない

そもそも岸田政権の内閣支持率は、発足当初こそ各種調査の平均で5割に届かなかったものの、その後は大きなスキャンダルもなく、堅実な政権運営もあって、新政権としては異例の高支持率を維持してきた。

その結果、昨秋の衆院選勝利に続いて今年7月の参院選で大勝したことで、「岸田1強」時代が到来したかにみえた。しかし、政権浮揚効果を狙った電撃的な党・内閣人事後の支持率急落が、現在の岸田首相の窮地につながった。

岸田首相の周辺も「下がり方が想定外」と肩を落とし、側近は「メディアの旧統一教会問題での政権攻撃が最大の原因」とのうらみ節をもらした。

その一方で、与党内からは「旧統一教会問題だけが原因ではない」との声も出る。深刻な物価高騰や、1日の死者数が過去最多を更新するような新型コロナ第7波の感染爆発への後手後手の対応に、国民が不満を募らせているとの分析からだ。

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