「18歳選挙権」は、本当に与えてもいいのか 今国会成立なら2016年参院選から実施へ

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憲法改正を持論とする安倍首相は、第一次安倍内閣が誕生した2006年に憲法改正の議論を始めるが、この「国民」という解釈論議に阻まれた。憲法改正には、まず「憲法改正のための、手続き法の整備」が先にありき、ということだ。

最終的には民法改正、「18歳で成年」へ?

この審議の過程で、「国民」とは「有権者」か「総投票者」か「有効投票者」か、どれを指すのか、例えば、産まれたばかりの赤ちゃんは「国民」に含まれることを想定はしてはいないだろう、など、憲法96条のいう「国民」の想定範囲にまで議論が及んだ。

条文をそのまま受け止めれば、その時点での「有権者」、つまり現行の選挙権と同様に20歳以上を「憲法改正における投票資格」と意図しているのではないかと想定されるが、明文化がなされていない以上、断言するわけにもいかない。

案の定、この後の国会での審議の決定は、「憲法改正国民投票は18歳以上」という、20歳以上とされる「有権者」とは異なる年齢ということになった。

その決定が、今度は、「有権者は20歳以上か」という議論に及ぶ。

憲法という国家の最高法規が、18歳以上の国民の意思で決定されるのに、選挙権が20歳からというのは、国民の判断能力に対する解釈が曖昧になってしまうという指摘だ。

それ以上に、「国民」という法の定義に、統一性がないのは問題だ。国民も国民投票と選挙権の年齢の違いに困惑するだろうし、混乱しかねない。いずれ大きい問題が起こることも想定される。

以上のことから、憲法改正国民投票法に準じて、公職選挙法も18歳以上に改正すべきという方針に、国会は大きく舵を切る。

「18歳は成人か」――。つまり、そんなことがこれから、永田町で議論される。

酒を飲む、たばこを吸う、犯罪者名が公表されるというのも、すべて現行では20歳から。最大限譲って会社の取締役の資格に年齢制限はないが、未成年者の場合は、親権者の承諾なしに就任することはできない。

このように、現在の日本では社会全体が、「20歳をもって成年にする」(民法4条)ということになっている。ところが、憲法改正国民投票が、そして今度は選挙権が18歳からということになれば、「18歳をもって成年にする」と民法改正は必然になろう。

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