日経平均株価は再び3万円を突破すると読む理由 「空売り勢力」はこの局面をどう見ているのか

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その理由は主に2つだ。1つは、必死のせめぎ合いの最中に遭遇した、前出のオプションSQである。12日の裁定買い残は「先物売り、現物買い」のポジションが解消されず、むしろ1兆3278億円と直前の9504億円から3774億円も増加した。

そのことにより、いわば「戦いの土俵ごと押し上げられた」ような形となった。そのことで、買い方でさえ「自分たちは本当に勝ったのか?」と困惑している状況だ。

2つ目は、2万9000円という日経平均の位置だ。売り方で利益を得てきた当たり屋筋は、ここ1年超のトレードで、おおむね2万9000円以上の水準では売り、2万6000円以下では買いを入れ、大きな利益を得てきた。

この「ゾーン内逆張り投資」で見れば、今回も再び「売りのチャンス」が来たことになる。実際、下手を踏んで下値をつけたところで空売りを仕掛けてしまった「一部の売り方」が買い戻しを迫られている今、前出のような売り方は、再び空売りを仕掛けていると聞く。しかし、彼らは「今回の局面では空売りをしてもうまくいかないかもしれない」と思っているようだ。

「潮目が変わった」といえる2つの理由

その理由は2つある。1つ目は、アメリカのCPI(消費者物価指数)とNYダウとの関係だ。少しさかのぼるが、今年2月10日のCPI発表時を思い出してほしい。同日のNYダウは526.47ドル安の3万5241.59ドルと大きく下げ、下げ幅は一時660ドルを超えた。

この日、注目だった1月のCPIは前年同月比+7.5%と、12月の+7.0%を上回り、伸びは1982年2月以来、約40年ぶりの高水準となった。

また、最近では6月10日のNYダウも880.00ドル(2.73%)安の3万1392.79ドルと、大きく下落した。この日発表された5月のCPIは前年比+8.6%(前月比+1.0%)と、4月の+8.3%を大きく上回った。直後に為替相場でドルは急伸し、10年債利回りも3.1%台まで上昇した。

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