日経平均は8月が「戻りの限界」になる懸念がある 「2022年内3万円」までは届かないかもしれない
では、これからの相場をどう考えればいいのか。もはや「いったん下落の可能性がある」という事前のリスクシナリオを考慮せず強気の部分だけを継続、「日経平均株価は一気に3万円超えを目指す」という方向でいいのだろうか。
確かに、一見すると日本株の需給分析やテクニカル分析の観点からは、短期か中期かは別として、弱気にみていた市場参加者も強気転換せざるをえない局面かもしれない。
日経平均株価が3月29日の重要な節目2万8252円を超えたこともあり、改めて今年1月初旬から直近までの株価推移を確認すると理解しやすいだろう。
この間の主要な高値と安値を見てみると、1月5日に現時点の年初来高値となっている2万9332円をつけた。その後は3月9日の安値2万4717円、3月29日の高値2万8252円、5月12日の安値2万5748円、6月9日の高値2万8246円高値、6月20日の安値2万5771円、直近8月15日の高値2万8871円となっている。
これらを見るとわかるように、3月末と6月初旬に2万8000円台まで急騰して、多くの影響力のある海外投資家などを含む多くの市場参加者が強気に傾き、日本株を買ったところがピークとなっている。その後、それぞれ5月中旬と6月下旬には2万5000円台に急落したトラウマがあった。
8月高値が「今年の戻り高値」になる懸念
今回は、まず8月初旬にかけて日経平均株価が2万8000円前後で戻ったことで「ヤレヤレ売り」(購入した株式がやっと買い値近辺に戻り、損失もほぼ回避できたことでいったん手じまう動き)が増えた。
このヤレヤレ売りが終わるのに、なかなか2万8000円を上抜けしなかったと解釈すべきだろう。これをこなした日経平均株価は需給面の重しがなくなり、8月15日の高値2万8871円につながった。「日本株は素直にNASDAQなどのアメリカ株式の好調に連動して上昇しやすくなった」と見るマーケット関係者が増えているようだ。
こうした見方に対して、私は確かに日経平均株価が3月29日の戻り高値を一気に上抜けたことにより、当面はまだ高止まりする可能性があると見ているものの、「今年の戻り高値は年末」という前回までの予想よりも早くピークが近づいたのではないかと心配している。
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