「匂いや音に敏感な子の母」が抱く12年間の後悔 親が望んでいる反応を子に求めるべきではない

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感覚過敏に悩む子ども、親はどう対応すればよいのでしょうか(写真: buritora/ PIXTA)
感覚過敏という言葉を知っていますか? 感覚過敏の当事者である加藤路瑛さんは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)などの諸感覚が過敏な症状だけでなく、周囲の理解が得られないために生じる「生きづらさ」に悩んでいます。16歳、現役高校生の加藤さんは、その症状を持ったまま学校生活をどのように過ごしているのか? その時、親は何を思うのか?、加藤さんの著作である『感覚過敏の僕が感じる世界』の一部を抜粋・再編集し、加藤さんの母の視点と一緒に紹介します。

 

加藤路瑛さん(以下、加藤さん):中学1年のころ、休み時間になるとクラスメイトの騒がしい声(特に甲高い笑い声)で頭が痛くなることが多く、頻繁に保健室に行っていました。

頭痛があまりにも続くので保健室の先生にどのようなときに頭痛がするのかと聞かれ、「甲高い笑い声を聞くと、耳に刺さるように笑い声が入ってきて頭が痛くなる」と自分の状況を振り返って説明しました。今まで、頭痛がするきっかけのようなことを考えたこともありませんでしたし、誰もそのような問いかけを僕にしてくれませんでした。

保健室の先生は、「それって聴覚過敏じゃないかな?」と僕に教えてくれました。これが僕の「感覚過敏」という言葉との最初の出会いです。

先生が教えてくれた「聴覚過敏」という言葉

保健室の先生は、聴覚の刺激に過敏に反応して頭痛や体調不良になることを教えてくれました。そして、対策としてデジタル耳栓というものがあることを教えてくれたのです。

具体的な商品に関しては「調べて担任の先生に伝えておくから、使うかどうかは家族や先生と相談してみて」と言ってくださいました。家に帰って母に「保健室の先生に聴覚過敏かもと言われた」と報告しました。僕も母もはじめて聞く言葉でした。一緒にパソコンで聴覚過敏について調べました。

保健室の先生の説明通り、聴覚が過敏で頭痛や吐き気などを起こす場合があるというようなことがネットにも書かれていました。そして、「感覚過敏」という言葉に出会います。

感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さを抱えている状態だというのが僕の認識です。ネットにも似たような説明がされていました。調べると、思い当たることばかりでした。

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