それでも欧州は債務帳消しに寛大になる必要がある。今日のギリシャの苦境はすべて同国自身が招いたとはいえない。
なぜなら第一に、2002年にギリシャの単一通貨圏参加を認めたユーロ圏諸国の決定はひどく無責任だった。特に、参加を推進したフランスの責任は大きい。当時、ギリシャは多額の債務があり、経済的および政治的後進性ゆえ、基本的な通貨統合基準の多くを満たさなかった。
第二に、ギリシャ債務に対する融資の大半はドイツやフランスの銀行によるもので、両国の銀行は自国やアジアからの貸し付けを仲介することで多額の利益を稼いだ。これらの銀行は、財政上の信頼性を、最終的にほかのユーロ加盟諸国による救済に依存している脆弱な国家にこうした資金を注ぎ込んだ。
第三に、ユーロ導入諸国は国債をめぐる交渉で通常見られない大きな力を振るう。もしギリシャがユーロ参加国の地位を維持するために課された条件を受け入れないなら、欧州連合(EU)からも追放されるリスクを冒すだろう。
失業率は25%以上、若者は50%超
2つの救済策が実施された後でもギリシャの納税者が近いうちに多額の返済を開始する、と予想するのは非現実的だ。同国の失業率は25%(若者については50%以上)である。ドイツや他のタカ派の欧州北部諸国が、ギリシャは構造改革の公約を守るべきだと主張するのは正しい。が、これらのタカ派諸国は債務返済についてさらに大きな譲歩をするべきだ。債務過剰を受けて、投資家は依然かなりの政策不透明感を持っている。
もしギリシャへの譲歩が、ほかの国々も便乗する前例となるなら、それは仕方ない。早晩、他のユーロ圏周辺諸国も支援を必要とするようになる。ユーロ圏の崩壊を避けたいなら妥協は不可欠だ。
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