検査員も、ホテルのみんなもわがことのように喜んでくれた。早速、フライトを予約しよう。帰路は予定がたたないのでキャンセルしてしまっていたから、チケットの買い直しだ。なによりも“日本に帰れる”という幸福感に浸る。
もし、海外滞在者がコロナに罹った場合、日本のように帰国便搭乗前にPCR検査を要求するような国はほとんどない。であるから、高熱でもない限り、多くの国では滞在者がそのまま帰国してしまう。そう考えると、日本の水際対策もある程度の意味があるのかもしれない。
ところが、このようにオミクロン株が蔓延してくると大変だ。日本へ帰国する海外滞在者にとっては、海外で隔離されるリスクがどんどん高くなってしまうのだ。状況を見計らいながら、このルールも検討する必要性を感じる。
海外渡航の予定がある人へ
最後に、筆者が経験を通じて得た、海外で新型コロナウイルスに感染した場合のTipsをまとめておこう。
(1)海外でコロナに罹った場合、当地の法律に従い、何らかの隔離が必要になる。さらに病院や保健所とのコミュニケーションが必要となる。
(2)隔離場所となるホテルを見つけるのは、ハイシーズンの観光地ではそう簡単ではない。もちろん、相応に高価な場合も多い。
(3)帰国のフライトは、いつ陰性となり出国できるかがわからないから、前もっての購入が難しい。筆者の場合、事前に購入していた航空会社ではまったく空席がなく、新たに買い直した。それも直前であるから高価であり、長時間乗り継ぐ必要があるケースもありうる。
(4)現地では万全の感染対策を行い、免疫確保のために疲労を溜めないことはもちろんだが、罹ってしまったときのことを考えて、上記のようなリスクをカバーする旅行保険への加入はマスト。保険会社のヘルプデスクからの情報も役に立つ。
以上、コロナ隔離をイタリアで経験した日本人が帰国するまでの顛末を語らせていただいた。現在、海外へ出るということは、こういった具体的なリスクに直面する可能性があることを頭の片隅に置いておいていただきたい。
不名誉ながらも、これから海外へ出られる皆さんへの助言というつもりでお伝えした。また、当たり前のことでもあるが、情報のアンテナをあらゆる方向に張って、最新情報を掴んでおくことも大切である。特にコロナ禍に関しては、流動的だ。皆さんが安全な海外滞在を過ごせるよう、切にお祈りする。
越湖 信一
PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表
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えっこ しんいち / Shinichi Ekko
イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。
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