日本で「モーダルシフト」がなかなか進まない背景 声掛けだけで一部でしか実施されていない現状
地球温暖化問題から、CO2排出量か少ない鉄道や内航船へトラックから貨物を政策的に移すモーダルシフトに加えて、トラックドライバーの減少と高齢化により、鉄道貨物にとっては追い風ともいえる状況にある。
しかし、温暖化の結果として自然災害が激甚化して、鉄道の運行が遮断されることが増加。長距離を運行する貨物列車には、とくに影響が大きく、また長期間にわたるケースが増えている。
非常時の列車運行に対するJR貨物の対応も問題で、旅客会社との関係で回復運転ができない。ダイヤが乱れても運送会社は荷物の位置がわからない。代行輸送する場合に、JR貨物は費用負担を減らすために区間を絞るなど、貨物列車を利用する運送会社からの不満がある。迷惑を受けた荷主は二度と鉄道には戻らないという。
10年間で鉄道コンテナは17%減少
10年間で鉄道コンテナは17%減少したが、物流全体で自動車部品、家電、情報機器が30%減少したのが大きい。一方で積み合わせ貨物は147%、エコ関連物資は109%と大きく増加しており、輸送品目の構成が大きく変わってきている。
積み合わせ貨物の中心は宅配小口貨物、いわゆる宅配便や宅急便である。小型バンで荷主から荷物を預かり、積み替えステーションで5トンコンテナに詰め替えられて鉄道駅に運ばれる。
大手の宅配業者は、長距離路線トラックを兼業している場合が多く、鉄道に荷物を託さなくても、自社の20トントラックで中長距離を運ぶ方が都合がよい。
もともと鉄道貨物は、各駅の駅前で営業していた通運会社が荷物を引き受け、国鉄の貨物列車を使って運ばれた。駅までの集荷と到着貨物の配達も通運会社が担当した。
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