日本で「モーダルシフト」がなかなか進まない背景 声掛けだけで一部でしか実施されていない現状

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その背景には、自動車のハイブリッド技術の発展があり、将来的に自動車によるCO2排出量が減少することを見越しているのだろう。しかし、トラックの場合は、現状ではほとんどがディーゼルエンジンである。トラックに関しては、運転手の不足の問題も起こっている。26両編成の貨物列車は10トントラック65台分の荷物をいっぺんに運べる。

モーダルシフトについては、今でもその重要性は変わらない。実際、地味ではあるが貨物鉄道によるモーダルシフトの努力は続いている。

大規模プロジェクトは隅田川貨物駅の輸送力増強だけ

ただ、モーダルシフトの受け皿となる貨物鉄道は、国庫補助事業により2012年度に完成した隅田川貨物駅の輸送力増強工事が最後で、それ以降、大規模なプロジェクトは行われていない。しかも、JR化以降に行われた貨物輸送力増強プロジェクトは東京〜福岡間だけで、そのほかは、京葉線蘇我~武蔵野線南流山間の貨物走行化工事と隅田川貨物駅の改良だけであった。

国内の貨物幹線には、大阪〜青森間の日本海縦貫線と、さらに札幌までの津軽海峡線と函館本線、東北本線の東京〜青森間などがあるものの、夜行の寝台特急が廃止された余力を貨物輸送に活用する程度で、大幅な輸送力の増強とはならなかった。

今後新幹線を活用した荷物輸送の拡大が予想されるが、本格的な貨物運行も視野に入れた取り組みが必要ではないかと考える。

モーダルシフトの事例として、2022年3月14日から運行が開始された、貨物利用事業者(フォワーダー)向けのブロックトレイン(コンテナ専用列車)がある。越谷~姫路間の貨物列車1往復を貸し切りにし、26両編成中22両のうち、日本通運が12両、全国通運が10両使用する。本来、鉄道区間ではJR貨物が荷主から貨物を預かって輸送するが、フォワーダーズブロックトレインの場合、フォワーダーが預かった貨物をJR貨物に託して輸送するのである。

そのほか、西濃運輸は2018年5月から、近畿地区と東北地区間のコンテナによる特別積み合わせ輸送を行っている。JR貨物のほか、子会社の日本フレートライナー、仙台臨海鉄道が輸送を担当する。

また2004年から佐川急便が、安治川口〜東京間で専用電車「スーバーレールカーゴ」を運行している。16両編成で両端に貨物電動車を2両ずつ連結する、世界的にも珍しい貨物専用電車である。全車、佐川急便が貸し切りで運行している。

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