オトコとオンナ、住宅業界が抱える根本課題 「活躍推進」なんて何を今さら!
女性が会社の経営を担うところまで上り詰めるという「成功事例」が圧倒的に少ないのが住宅業界の実情なのだ。そんなわけで、「(役員を含めた)管理職における女性の割合などは設定できない」というのが、住宅業界関係者の本音である。
日本の住宅業界を待ち受ける苦難
一方で、日本の住宅業界は今後、大いなる苦難が待ち受けている。少子高齢化の影響で新築住宅の需要は今後、先細ることは必至だからだ。住宅市場の目安となる新設住宅着工の推移は最盛期の1970年代の190万戸をピークに、2014年は90万戸にまで半減している。これだって、消費税の駆け込み需要があっての話だ。今後、これを上回ることはないともいわれている。
また、総務省が2014年7月に発表した住宅土地統計調査によると全国にある「空き家」は820万戸で、空き家率は過去最高の13.5%。7戸に1戸が空き家になっているのがニッポンの現実。すでに新築住宅は量的に充足しているのだ。さらに頭が痛いことに雇用・所得環境の悪化から、30~40代を中心とする住宅の一次取得者層の年収は減少傾向にあり、「住宅を購入するどころではない」という人も数多い。
そのため、新築住宅供給への依存を減らし、中古住宅のリフォームなどストック型の新たなビジネスモデルを確立すべき時代に突入しているといえる。
住宅業界は日本の縮図なのである。働き手の確保という観点も含めて、人材活用の部分でも新機軸として「女性登用」となるのだが、新たなビジネスモデルの確立と同様、一筋縄ではいかない。
というのも、「バリバリの男性社会」という以上に、「バリバリの成果主義」でもあるからだ。近年になって、女性の営業職社員も増加傾向にあり、営業成績の優秀者も増えてきているが、それでも数はまだわずかだ。そもそも住宅業界は人材の定着率が低く(こちらも年々改善されてきているというが)、特に女性の場合は結婚や出産で職を離れるケースも少なくない。
ちなみに、中小工務店では女性社員をうまく活用し、営業成果を積み上げているケースもみられるし、前出の積水ハウスでもリフォームを中心に活躍が広がりつつある。少しずつではあるが状況は改善しつつある。ただ、一方で冒頭の管理職の話のように、今まさに男性社員が直面している、大変悩ましい状況もある。
だから、男性社員のケアを含めトータルな働き方の改善が住宅業界に求められているし、それが企業や業界全体が抱えるこれからのビジネスモデルの確立と、生き残りにつながるのではないだろうか。将来像に影響を与える住宅業界のオトコとオンナの問題。今のところ理想的な答えにはほど遠い。
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