ヤマダ、創業者が語った「シェア奪還」戦略の全貌 再びピーク時の売上高2兆円へ「反撃ののろし」
市場縮小でヤマダがいちばん割を食った
――家電量販業界への強い追い風となったコロナ下の巣ごもり特需は、2021年度でほぼ一服しました。業界の今後をどうみていますか。
地上波デジタル放送移行やエコポイント制度で盛り上がった2010年度をピークとして、家電小売り業界の市場はシュリンクしている。かつては市場を牽引する新たな商品がつねにあったが、今はそうした目立った商品も見当たらない。
今回のコロナによる特需にしても一過性のもので、大きなうねりになるような新たな市場が生まれたわけじゃない。家電は生活必需品なので一定の買い替え需要は見込めるが、これから少子高齢化で人口も減っていく。業界の事業環境としてはより厳しくなっていくだろう。
この10年間を振り返ると、市場が縮小する中でいちばん割を食ったのが最大手の当社だった。グループで1000店もの圧倒的な店舗網を築き上げていたので、影響も大きかった。
2015年度にはヤマダだけで約60店舗(グループ全体で98店)の閉鎖を余儀なくされた。その後は改革を優先して、目立った新規出店をせずにきた。一方、ライバルはヤマダの繁盛店を狙って新店をぶつけてきたから、ずいぶんとシェアを奪われてしまった。
――実際、ヤマダの直近(2021年度)の売上高は1.6兆円で、かつての2兆円には遠く及びません。
この状況をいかに打破するか。それをずっと考え、いろんな試行錯誤を経て4年前に打ち出したのが、「暮らしまるごと」というコンセプトだ。既存の店舗を活用しつつ、家電製品から家具・インテリア、生活雑貨、おもちゃ、リフォームなど、衣食住の「住」に関わるほとんどのものを取り扱う独自の店作りをしよう、と。
――そうしたコンセプトで2018年から展開を始めたのが、家具や生活雑貨にも売り場を割いた「家電住まいる館」でした。しかし、短期間で100店にまで増やしたものの、期待した売り上げには届きませんでした。
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