ヤマダ、創業者が語った「シェア奪還」戦略の全貌 再びピーク時の売上高2兆円へ「反撃ののろし」

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――2022年度から始まった3カ年の中期経営計画では、ライフセレクトを毎年15店ずつ増やす計画です。

家電住まいる館など既存店舗からの業態転換を中心に増やしていく。地域によっては純粋な新規出店も考えており、すでに数年先の計画まで固まっている。当社の売り場面積は近年、ずっと頭打ちだった。しかし、大型新業態のライフセレクトの本格展開によって、今後3年間で1.2倍に増える見通しだ。

併せて全国の店舗網の再編成にも取りかかる。人口40万人を1つのマーケットとして、そこに総合型の大きなライフセレクトを中核店舗として出していく。商圏内に別のヤマダの店がある場合は、それをアウトレット・リユース専門店に変えるなど、ライフセレクトと別業態の組み合わせで商圏内のお客さんの幅広いニーズに応えていきたい。

安さだけを競う時代は終わった

――かつてのヤマダは、バイイングパワーを背景とした価格競争力が最大の武器でした。もう単純な価格競争はしない?

いや、価格訴求はそれはそれで必要ですよ。お客さんからすれば、できるだけ安く買いたいと思うのは当然のこと。どの家電量販店も「うちは安くしますよ」と言うし、他社より高い値段で出して買ってもらえるほど甘くはない。

ただ、確かにかつてのヤマダは価格で徹底的に勝負したが、市場自体がシュリンクしているわけだし、昔みたいにはいかない。会社がつぶれてもいいなら徹底的にやるが、そういう時代ではないですよね。どの家電量販も今は採算重視で、価格以外の差別化を必死に模索しているというのが実情だと思う。

――中計で掲げた売上高2兆円達成への自信は?

当社の売上高の過去最高は、家電市場が非常に盛り上がった2010年度の2兆1532億円。当時はそのほとんどが家電製品の販売によるものだった。一方、直近のグループ売上高は1兆6193億円で、デンキ(家電量販)事業だけでみると1兆4000億円を割り込んでいる。

会社として「暮らしまるごと」という明確な方向性を打ち出し、ライフセレクトの本格的な展開も始まった。それを大きな牽引役として、再びグループ売上高で2兆円を早期に達成したい。市場自体は伸びなくとも、戦略を着実に実行していけば家電販売のシェアを取り戻し、再成長に向けた道筋をお見せできると思っている。

(後継者問題などについて語ったインタビュー(下)は近日配信予定)

渡辺 清治 東洋経済 記者
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