ヤマダ、創業者が語った「シェア奪還」戦略の全貌 再びピーク時の売上高2兆円へ「反撃ののろし」
実際にやってみて、いろいろと勉強させてもらった。売場面積が4000~5000㎡の郊外型店舗をそのまま活用して家電住まいる館に変えたが、それが良くなかった。家電だけを売るなら十分な広さだが、そこにいろんな商品を並べたら、家電、非家電とも中途半端な品ぞろえになってしまった。
これじゃ駄目だということで、暮らしまるごとコンセプトの発展形の店舗として、2021年から新たに「ライフセレクト」の展開を始めた。増築・増床によって売り場面積を1万㎡超に広げ、家電、非家電とも地域1番の圧倒的な品ぞろえにこだわっている。
――ライフセレクトにしてどんな変化が?
女性のお客さんや、お子さんを連れたファミリーの来店が大幅に増えている。
今は家電住まいる館からの業態転換がメインだが、転換後には平均で客数が1割、売り上げは2割増えている。
家電製品より粗利率が高い家具・インテリアなどの売れ行きも良く、粗利の絶対額の伸びはそれ以上だ。
“脱家電”という見方は間違いだ
――ヤマダの「暮らしまるごと戦略」を脱家電と見る向きもありますが、それは間違いですか。
そうした見方や、「ヤマダは万屋(よろずや=何でも屋)になろうとしている」などと言う人もいるが、まったくそうじゃない。暮らしまるごとは、家電という当社の太い柱を維持したまま、周辺の関連性のある商品群にも事業領域を広げる戦略だ。
「住」に関わる幅広い商品が体験できるまったく新しいコンセプトの店にすることで、より多くのお客さんに来店してもらい、結果として家電の販売拡大にもつなげるという考え方。つまり、暮らしまるごと戦略のライフセレクトは、家電をもっと伸ばすための店舗だ。
実際、この1年で20店以上を出してみて、出店した地域では家電の販売シェアが格段に拡大している。だから、「よし、これだ」と手ごたえを感じているわけですよ。まだ分母が小さいので全体に与える影響は限られるが、これが50店舗くらいに増えたら、経営に大きく貢献してくるだろう。
――ライフセレクトの本格展開によって、業界内でのシェアを再び上げる?
上がるでしょうね、(失ったシェアの)奪還ですよ(笑)。
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