日本の「野球用グローブ」が圧倒的な人気を呼ぶ訳 「名手モデル」「湯もみ型付け」など機能も多彩

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最初に開発したのは源田モデルで、「捕球面が広く浅く、型付け次第でいろんな型になる」。今宮モデルは、「オーソドックスな形と大きさで、しっかりつかむ系」だという。

大ヒットした「源田モデル」(左)と「今宮モデル」(右)のグローブ(写真:ゼット)
完成した「今宮モデル」のグローブを確認する今宮健太選手(写真:ゼット/協力:福岡ソフトバンクホークス。撮影のためマスクを外しています)

「プロ野球選手は、感覚的な言葉で要望されるケースが多く、その言葉の真意を理解するのは大変です。当社は、日々選手と接して気心の知れた担当営業と、モノづくりに精通した職人が一緒に選手と直接会話をして、求める内容を理解します。それを実際に商品に落とし込む作業を繰り返し、商品開発をしています」(鶴田氏)

その結果が源田モデルの「素手感覚」であり、今宮モデルの「安心感」だという。くわしい内容は、同社が積極的に配信する動画で見ることもできる。

日本の職人が開発した「湯もみ型付け」 

もう1つ紹介したいのが、「湯もみ型付けグローブ」だ。

野球経験者ならご存じだろうが、「湯もみ型付け」とは新品のグローブをお湯で柔らかくする手法だ。固いグローブが適度なやわらかさになり、捕球ポケットが形成されて取りやすい、などのメリットがある。ただし、個人が自分で型付けするとうまくいかないことも多い。

この開発者は久保田スラッガーの江頭重利氏(同社顧問)で、その昔「土砂降りの雨の中にグローブを置き忘れた学生の、革製グローブを再生するために編み出した技法」だと聞く。同氏は2012年に「現代の名工」、2013年には「黄綬褒章」を受賞したレジェンド職人だ。ブランド名に強打者を意味する「スラッガー」をつけたのも同氏の発案だという。

久保田スラッガーの「湯もみ型付け」の様子(写真:久保田運動具店)
「湯もみ型付け」グローブの開発者・江頭重利氏。卒寿を迎えたが現役の職人として活躍する(写真:久保田運動具店)

今では多くのメーカーが「湯もみ型付けグローブ」を販売するが、まだ本場アメリカには珍しい。多くのMLB選手とも親交があるベルガードの永井氏はこんなエピソードを持つ。

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