日本の「野球用グローブ」が圧倒的な人気を呼ぶ訳 「名手モデル」「湯もみ型付け」など機能も多彩
グローブへのこだわりが強い、一般愛好家の声も紹介しよう。
「持っているグローブは『ミズノ』と『ローリングス』です。ミズノは昔から使い慣れたブランド。ローリングスは憧れで、使ってみたくて買いました」(30代の会社員)
「『ローリングス』『ウイルソン』『ミズノ』『久保田スラッガー』『ゼット』『ナイキ』『グラブワークス』を持っています。まずは革質とデザインで選び、カラーリングがほかにはない配色も好きです」(20代の会社員)
「『ウイルソン』『ハタケヤマ』『ゼット』『玉澤』『アサダスポーツ』『久保田スラッガー』を持っています。大手でなくても、革質と型の評判、補球部分のシワの少なさなどで選んでいます」(別の30代会社員)
ここでの購入価格の中心は1万~3万円。複数所有者も多い。「久保田スラッガー」を持つ人は、「使っていた友人からの勧め」「内野手といえばスラッガー」という声もあった。もともと学生野球や都市対抗野球で遊撃手として活躍した久保田信一氏(1910-1987年)が、戦前に大阪市で創業した久保田運動具店から歴史を刻むメーカーだ。
守備によってグローブの機能性は異なる
ひとくちに「グローブ」「ミット」といっても、どの守備位置につくかで商品の機能性は異なる。少し専門的な話になるが、「消費者にどう寄り添うか」の視点で紹介したい。
教えてくれたのは前述の永井氏と、老舗メーカーのゼット(1920年「渡辺梁三商店」として創業)の鶴田昌博氏(ベースボール事業部 開発部部長)だ。業界歴20年超の鶴田氏は学生時代、1年間アメリカに留学し、MLBの試合もよく観戦したという。入社後は貿易部門で生産管理を行い、その後に商品開発に移り、現職に就いた。
「投手・内野手・外野手用グローブの共通要件は、グローブに手を入れるスムーズさ、ポケットの張り、親指・小指の開閉のしやすさ――などです。選手によってこだわりが違うので、いずれのポジションも答えは1つではありません。当社ではさまざまな要望に対応できるグローブを複数のポジションで揃えています」(鶴田氏)
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