1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち

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こうした状況を改善する方策の一つとして、常勤の非正規教員にも初任者研修を課し、後に正規教員になった際には免除するということが考えられる。極めて合理的な仕組みで、公教育としての責任を果たすうえでも理にかなっている。だが現状、そうした制度の導入は検討されていない。

なぜ、そうしないのか。前出の中堅小学校教員に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「そんなことするはずがありません。できが悪ければ切り捨てればいいと考えているわけですから。非正規教員は、あくまで臨時的な穴埋め人員にすぎない。そんな人間にお金と手間をかけて研修を施すなんて考えは行政サイドにありません」

教員不足解消のためにも研修が必要

非正規で雇っている人に対する研修や教育は、その人を「見習い」と捉えるのか、「臨時的な穴埋め」と捉えるかによって変わってくる。公立学校の場合、非正規教員の大半はいずれ正規教員になることを目指し、見習いとしての意識で働いている。にもかかわらず、雇用する側が臨時的な穴埋めとしか捉えていないとすれば、両者の間には大きな意識の隔たりがあることとなる。

もちろん、1年目の非正規教員にも初任者研修を施すとなれば、相応のコストと人員が必要となる。だが、実施すれば非正規教員の職務状況が改善され、離脱する人が減る可能性も大いにある。現状の教員不足の解消という点でも検討すべき課題であろう。

【東洋経済では教員の働き方に関するアンケートを実施しています】

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(第7回「『日雇いバイト』食いつなぐ40代教員の葛藤」は明日7月31日配信)

佐藤 明彦 教育ジャーナリスト

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さとう・あきひこ

1972年滋賀県出身。東北大学教育学部卒。『月刊 教員養成セミナー』前編集長。著書に『職業としての教師』『非正規教員の研究「使い捨てられる教師たち」の知られざる実態』。

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