「日本の経済安全保障」米国との連携が不可欠な訳 国家資本主義、技術競争と分断、相互依存の武器化

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これに続く「国防権限法」(NDAA2019)では、アメリカの対内投資規制、アメリカから対中輸出管理の強化、政府調達に関する規制、新興技術の開発推進と技術流出の保護に関する包括的な方針が示された。

アメリカ連邦議会は2018年8月に外国投資リスク審査法(FIRRMA)を制定し、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化した。外国企業によるアメリカの機微技術や重要インフラ等への投資、機微な個人データの搾取などを防ぐために、CFIUSの審査対象を拡大し、審査体制も大幅に強化された。

また輸出管理改革法(ECRA)で、輸出管理の対象となる14分野の新興技術を特定した。この中にはバイオテクノロジー、AI・機械学習、測位技術、マイクロプロセッサー、先進コンピューティング、データ分析、量子情報・量子センシング技術などが含まれる。

ECRAの下位法令であるアメリカの輸出管理規則(EAR)は、アメリカの安全保障・外交政策上の利益に反する者を関係省庁からなる「エンドユーザー審査会」によってエンティティリストに指定し、アメリカからのすべての品目についての輸出が許可の対象となる(通常許可されない)。

企業の通信・監視ビデオ関連にも規制

さらに「再輸出規制」によって、アメリカ以外の国から第三国に輸出される際にもアメリカの法律が事実上域外適用される仕組みを強化することにより、EAR対象品目の取引規制を強化している。そして「軍事エンドユース規制」によって特定懸念国の軍事エンドユーザー向けの輸出・再輸出を規制した。この規制では特定国の軍関係機関に対しては、たとえ用途が民生であったとしてもアメリカ商務省の許可が必要となる。

さらに政府調達分野では、NDAA2019の第889条でアメリカ政府機関が懸念ありと指定した企業の通信・監視ビデオ関連の製品・サービスを調達することを禁止した。アメリカ政府機関は、同条文で指定された中国企業5社(ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラ)が提供する通信・監視機器・サービスの利用を禁止した。

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