「10歳少女レイプ中絶事件」フェイク騒動の顛末 真実をめぐって有力メディアも右往左往

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しかし、保守派の政治家たちは、被害者は実在するのかという疑問を差し挟んだ。彼らが強調したのは、この報道が単一の情報源、すなわち中絶手術を行った1人の医師に依拠していたという点だ。保守派はバーナード医師がほかの報道機関の質問に回答していないことや、この件を確認する公的記録が存在しない様子にも言及した。「フェイクニュース」だと断じる者もいた。

オハイオ州のデーブ・ヨスト司法長官はフォックス・ニュースのインタビューで、そのような被害者の存在を裏付ける証拠は見つからなかったと語り、疑問をあおった。同氏はUSAトゥデイ・ネットワークの支局に向けてこう言った。「作為を持っていることが明らかな1人の情報源に基づいて記事を書いたインディアナポリスの新聞は恥を知れ」。

右派も左派も「軽率になっている」

フォックス・ニュースで司会者を務めたビル・オライリー氏をホストに擁する保守派メディア、ザ・ファーストが所有するメディアニュースレター「The Fourth Watch(ザ・フォース・ウォッチ)」の執筆者スティーブ・クラカウア氏は、懐疑的なツイートを行った1人で、次のような疑問を呈していた。

「10歳の中絶話が(ヘイトクライム被害を自作自演して有罪判決を受けた俳優の)ジャシー・スモレットと同じ(作り話)だということが明らかになった場合」メディアが反省することはあるのだろうか――。

そのクラカウア氏は、自身のツイートの言葉遣いを後悔していると述べた。同氏は、落ち着いて結論に飛びつかないようにすることが全体の利益になると語った。

「右派は突進している。とりわけ、トランプ後のこの世の中ではそうだ」。左寄りのメディアも(自分たちにとって有利な)特定のストーリーを見つけて増幅しているという意味で右派と同様の軽率さが見られる、とクラカウア氏は付け加えた。

コロンバス・ディスパッチは事件に関する13日の記事で、ガーソン・フエンテス容疑者(27)が警察に自供した後、13歳未満の児童をレイプした容疑で逮捕され、コロンバスのフランクリン郡の裁判所に起訴されたと報じた。

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