体験しないと大損、佐賀県「鉄道旅」秘めた可能性 知名度低いが、リピーター率は圧倒的に高い
陶山神社は有田焼陶祖の神が祀られている神社で、陶磁器製の鳥居や狛犬、灯籠などが境内のあちこちに飾られている。こちらでいただける御朱印は、なんと宮司さんの手彫りの消しゴムはんこの図柄が添えられている。毎月のように変わる絵柄を彫るのは大変だと思うのだが、「好きだからやってます」と話すのは宮司の宮田胤臣(たねおみ)さん。
今年10月1日から始まる佐賀・長崎ディスティネーションキャンペーンに合わせて、御朱印として新しい消しゴムはんこを作ったというので見せていただいた。御朱印帳いっぱいに押された絵柄は、陶山神社の陶磁器製鳥居をくぐる特急ハウステンボス号だ。
この大きさの消しゴムはなかったため、消しゴム同士をくっつけて大きくしたものを彫ったそうで、かなりの力作。写真だとわかりづらいが、鳥居の絵の具には銀粉をまぜて陶磁器の質感を出している。なんとも凝った御朱印だ。
宮司の宮田さんは、もともと鉄道好きだったのかと思ったら、最初はそうでもなかったそうだ。
「毎日鳥居を通る鉄道を眺めていたら、だんだん好きになっていきました。よく撮り鉄の方が写真を撮りに来られるのですが、『もうすぐななつ星が通りますよ』と教えてもらったり。やはりレアな車両が見られるとうれしいですね」
最後に紹介するのはJR九州長崎本線にある肥前浜駅のHAMA BAR(ハマバー)。こちらは2021年1月にオープンした駅ホーム直結の日本酒バー。地元鹿島の地酒を味わいながらカウンターの窓越しにホームと列車が眺められる。西九州新幹線と同じ9月23日にデビューする「ふたつ星4047」の午前便はこちらの駅にも停車する。
この日は珍しくホームに「やませみかわせみ」が停車していた。どうやらツアーの貸し切り列車として運行していたようだ。長い時間停車していたらしく、その間、バーは飲みに来る乗客で大変賑わっていた。
暑い日だったので生ビールが飲みたかったが、せっかくなので鹿島の純米大吟醸 5種飲み比べセットを頼んだ。外では刈り取った麦畑から追い出されたのであろうヒバリのひなが、マスターから水をもらっていた。そんな情景を眺めながらお酒をいただく。マスターと話をしながら、大変のどかでゆったりとした時間を過ごせた。
佐賀県は圧倒的にリピーターが多い
こうして書いていると感じるのが、人と人との距離感だ。佐賀は人がとても近い気がする。なんとなく温かく、落ち着く場所なのだ。
山口知事はこうも話す。
「実は佐賀県は圧倒的にリピーターが多い県で、一度来た人が何度も来るというところで強いんです。ただ、1回も来たことがない人が多すぎる。佐賀は情報発信力が弱いところがあるのは否めないが、もともと持っている本質的な価値はすごいものがあるので、とにかく一度体験してもらいたいですね。滞在してもらえると佐賀の本当の素晴らしさがわかる。いろんな可能性を秘めた土地なので、ぜひ佐賀に来ていただきたいです」
私が佐賀に訪れたのは今回ですでに3回目。すっかりリピーターとなっている。もし旅行先に迷ったら、ぜひ一度佐賀に訪れてみてはいかがだろうか。
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