体験しないと大損、佐賀県「鉄道旅」秘めた可能性 知名度低いが、リピーター率は圧倒的に高い

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下車後、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO×SAGA」の企画に合わせた周遊ツアーも行われた。その中で私が一番興味深かったのが「筑後川昇開橋」だ。

中央部分がせり上がっていく筑後川昇開橋(筆者撮影)

こちらは筑後川をまたいで佐賀県佐賀市諸富町と福岡県大川市を結んでいた、国鉄佐賀線の鉄道用可動式橋梁。川を船が渡る時は中央部分が上昇し、列車の通過時には中央部分が降下して橋となる。1935年に開通し、1987年に廃止された。

廃線後の現在は保存され、歩道橋となっているが、中央部分は今も可動する。この日、私が橋の中央まで歩いていくと、管理している方が目の前で橋を上下に動かしてくれた。かつての国鉄佐賀線が通っていた可動橋を実際に目の当たりにすると本当に感動する。橋の入り口には、佐賀線の写真のレリーフなども多々あり、鉄道ファンとしてはうれしい限りだ。

筑後川昇開橋は国指定重要文化財および機械遺産にも認定されている。

西九州新幹線の沿線を探訪

今年9月23日に開通する西九州新幹線の沿線もおもしろい。

この日は武雄温泉に宿泊した。

夜の武雄温泉楼門(筆者撮影)

武雄温泉の入り口に立つ楼門は、東京駅を設計した辰野金吾が手掛けている。1915年に完成した朱塗りの鮮やかな色彩と形で、釘を1本も使っていない建築物として有名だ。こちらも国の重要文化財に指定されており、火曜日を除くほぼ毎日朝に内部を見学可能だ。

その見学会に参加し、2階の天井の四隅にある、子・卯・午・酉の彫り絵を見た。これは干支の十二支の内の4つで、方角でいえば「東西南北」にあたるそうだ。そして東京駅の南北ドームの天井と対をなしている。東京駅にはこの4つを抜かした8つの干支のレリーフがあり、合わせると十二支が揃うという、おもしろい事実がある。

工事中の嬉野温泉駅(筆者撮影)

翌朝、嬉野温泉駅を見に行くと、絶賛工事中だった。駅はかなり大きく、駅前には道の駅や観光案内所、イベントスペースなどさまざまな施設ができるようだ。残念ながら新幹線のテスト走行は見られずじまいだった。

以前こちらにも宿泊したことがあるが、温泉街はなかなかレトロでよい雰囲気だった。新幹線が通ることで街も変わるのだろうか。

10月1日から押してもらえる陶山神社のスタンプと御朱印(筆者撮影)

佐賀県有田町にある陶山神社は、鉄道ファンにとっては「鳥居の前を列車が通る神社」として有名だ。私が訪れたこの日も、普通列車や特急みどりなどが鳥居の向こうを走り抜けていった。

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