日本人は行儀良いリーダーの弱点をわかってない 激変の時代を勝ち抜く「悪ガキ人材」9つの条件

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<重要なのは、リーダーとして何を捨て、何を守るかという判断になる。これは、何を目的として生きているかということにつながる。いわゆる哲学だ。
「自分の根っこにあるものは何だろう?」
「自分は、本当は何を求めているのだろう?」
そんなふうに、非常に本質的なことを自分に問う必要がある。
それには深い部分での思索が必要だ。激変の時代だからこそ、俊敏なことが重要であると同時に、決してブレない軸が必要なのだ。(195〜196ページより)>

9 憎まれず、かわいげを持つ

冒頭でご紹介した「いま求められているタイプの人間」を確認し、「そんなボスの下で働くのはごめんだ」と感じた方は少なくないはずだ。妹尾氏自身も、そのことには「私も同感だ」と気持ちを述べている。しかし、それは次のように続いていく。

<だからこそ、悪ガキ的リーダーには「かわいげ」が絶対に必要なのだ。「この人がやることだから、しかたないなぁ」と苦笑いしながら受け入れてくれる味方をどれだけつくれるか。それが、悪ガキ的リーダーが成功できるか失敗するかを分ける。>(221ページより)

新たなあり方を受け入れる

妹尾氏は、世界最大のヘッドハンティング企業であるコーン・フェリーの人材組織コンサルタント。多くの企業経営者から人材に関する悩みを聞き、その解決策を提案してきたのだ。

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つまり本書における「激変が常態化し、かつてない世界に身を置いているいまだからこそ、『悪ガキ』に特徴的なマインドセットを深く理解するべきだ」という主張は、そうしたバックグラウンドに基づいたものなのである。

そして妹尾氏は、厳しい環境のなかでたくましく勝ち抜き、しなやかに生き延び、それが仲間を助けるための最強の武器にもなるとも記している。当然ながら「いままでどおり」「現状維持」のほうが精神的には楽かもしれない。しかし現実問題として状況が激しく動き続けている以上、その“楽さ”は一時的なものとしてしか機能しないことになる。

だからこそ現実を、そして新たなリーダーシップのあり方を受け入れるべきなのだろう。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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