経営目標に「非財務KPI」、導入進むも玉石混淆 ストーリー見えない「アリバイ工作」的目標も

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つまり、非財務KPIの項目や数値自体が重要なのではなく、設定した非財務KPIを高めることで何が起きるのか、その結果、どういう形で利益につながってくるのかまでのストーリーを見せることのほうが、よっぽど重要というわけだ。それが欠落していたり、いい加減なものであったりすれば、金融機関のレーティングが上がっても、市場からの「買い」にはつながらない。

名和氏によると、非財務KPIの数字の出し方にも注意が必要だ。たとえば、ただ「従業員エンゲージメントを50から60へ引き上げる」という非財務KPIを出していても、それだけでは意味がないという。

名和氏は「従業員エンゲージメントは諸刃の剣で、(働き方の管理を)緩くすればするほど社員の居心地はよくなるが、生産性が低下して企業の成長にマイナスになることがある。働きやすさ、働き甲斐、どういう項目を重視していて、それが上がることがなぜ企業の成長につながるのかまで説明する必要がある」と指摘する。

5年後、10年後の分水嶺に

日本企業では、半数以上の上場企業が、PBR(株価純資産倍率)1倍を割っている。1倍未満とは、言い換えれば、全株を買い占めて資産を売却すれば利益が出ることを意味する。それだけ企業評価が低いところが多いのは、将来への期待の低さや、無形資産への評価の低さの表れでもある。そうした中で、多くの企業にとって非財務KPIは、使いようによっては企業価値を高めるチャンスにもなる。

非財務KPIは国内で一般化してきたが、現状は〝石が多めの〟「玉石混淆」のようだ。今はまだ、大きな差は出ていなくとも、非財務KPIにどう取り組むかは5年、10年先の企業評価を分ける分水嶺になるかもしれない。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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