「異動したことがない」34歳会社員に訪れた試練 キャリアを組織に預けず自分の力で作る発想

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佐藤さんが帰り支度をしていると、営業1課の課長から声をかけられた。「何かミスでもしたのだろうか?」と考えてみたけれど、思い当たることは何もない。

課長は穏やかな顔をしているが、それはいつものことだ。きっと、気づかないうちに何か失敗したに違いない……。不安に思いながら、課長が口を開くのを待った。

「実は来月から、佐藤さんには人事部に異動してもらうことになりました」

佐藤さん? 自分の名前すらわからなくなるくらい、頭が真っ白になった。予想外の展開に、言葉が出ない。新卒で入社してから、約12年。34歳になるまで営業一筋だった。突然「異動」と言われても、すぐに状況を理解することができなかった。

異動の内示を受け途方に暮れていると

数々の失敗を乗り越え、会社のために働いてきた。それなのに、営業として頑張ってきた12年間のキャリアが突然終わろうとしている。会社は、これまでの頑張りを評価してくれないのだろうか?

帰り道、人事部への異動を受け入れられず、会社近くの公園でベンチに座ってぼんやりとしていた。そんなときに声をかけてくれたのが、西村さんだった。

「どうしたの? 元気なさそうだけど、何かあった?」

西村さんに、突然異動の内示を受けて、途方に暮れていることを伝えた。すると西村さんは、「みんな一度は迷うよね」と同調してくれた。

「よかったら、私の大学時代の先生を紹介しようか? 1人で悩んでいると、どんどん元気がなくなっていくよ。私も先生に相談して『プロティアン・キャリア』を実践したから、キャリアの悩みを乗り越えることができたんだよね。『キャリア・ワークアウト』に取り組めば、きっと佐藤さんも納得のいくキャリアを歩めると思う」

西村さんの言うとおりこの悩みを乗り越えることができるのなら、一度その先生に相談してみたいと思った。

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