先行投資をケチる会社が若手を犠牲にしている訳 将来のキャッシュフロー創出を阻害していないか

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目先の業績を良くするために、こうした先行投資を削るということは、将来得られるかもしれないキャッシュを犠牲にしていることを意味します。拙著本書では企業価値とは、「その会社が将来にわたって生み出すと期待されるキャッシュフローの総額を現在価値に割り戻したもの」と説明しています。

先行投資削減は「キャッシュの先食い」

先行投資の削減は、将来にわたって生み出すと期待されるキャッシュフローの総額を削ることにつながるという点で、企業価値を毀損しかねない行為であり、いわば「キャッシュの先食い」なのだと私は思います。

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会社がこのような意思決定をすることで割を食うのは、会社の将来を支える若い人たちです。この点において、私は若いビジネスパーソンにこそ、ファイナンス思考 を身につけていただきたいと願っています。

もちろん、将来のキャッシュフロー創出につながらないムダなコストを削減するのは重要なことです。また会社の資金繰りの事情から、どうしても安全性を重視してキャッシュの確保を優先せざるを得ない局面も、会社経営の過程ではあるでしょう。

ですが、支出を減らそうとする際、それが将来のキャッシュフロー創出とのトレードオフになっていないかどうかは、立ち止まって冷静に考える必要があります。将来に向けて新たな価値を生み出そうとする過程に生じる「健全な赤字」と、事業が好転する見込みもないのに惰性で垂れ流している「構造的な赤字」では、同じ赤字であっても意味がまったく異なるのです。

前回:「黒字経営だから問題ない」が見落としているもの(7月6日配信)
前々回:「決算の利益が大事と信じる人が陥っている大誤解」(6月19日配信)

朝倉 祐介 シニフィアン共同代表

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あさくら ゆうすけ / Yusuke Asakura

シニフィアン株式会社共同代表。兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィへの売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。2017年、シニフィアン株式会社を設立、現任。

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