急に相続が発生「預金や金融資産」を確かめる方法 手続きを間違えると口座が凍結される恐れも
相続というと皆さんは「相続税の話でしょう?」「うちは相続するような財産がないから関係ないよ」などと思われるかもしれません。
しかし、相続は相続税だけではなく、相続人がどう遺産を分けるのか、手続きとして何が必要なのか、あるいは自宅の名義をどうするのかなど、さまざまな問題が発生します。こうした幅広い範囲の相談に乗るのが、私たち行政書士の役割です。
相続をめぐっては、悲喜こもごもの人間模様を目にする機会も少なくありません。なかには“相続は争族”を地でいくような事例に遭遇することもあります。
兄弟に何が起こった?
「母さんの一周忌が終わったら、お前にはもう二度と連絡しないからな!」
怒鳴り声が聞こえたので振り向くと、にらみ合って今にも殴り合いのケンカをはじめそうな2人の男性の姿が。あわてて私が割って入ります。2人は母親を亡くした兄弟で、声の主は兄でした。
兄夫婦は亡くなった母親と同居しており、弟は早くに家を出ました。最初に相続の相談に来られたときから、兄弟の間には険悪なムードが漂っていました。私の向かいに並んで座っていても、1時間以上、一度も目を合わせなかったのです。
亡くなった母親は相続に関して特に遺言書を残しておらず、兄弟は遺産分割をどうすればいいか相談に来られました。同居していた兄は母親を世話する苦労で不満が溜まっていたのに対し、弟は弟で「同居している兄が母のお金を使い込んでいたんだろう」という疑惑を持っていました。
話し合いを重ねても兄弟の溝は埋まらず、最終的には遺産分割協議を経て決着したのですが、帰り際に兄は弟に対して「お前にはもう二度と連絡しない」と言い放ったのです。
親の生前に相続の話し合いがもたれていれば、あるいは親が遺言書をきちんと残していれば、兄弟の関係がここまでこじれることもなかったのでは……と残念でなりません。
相続の相談に来られたお客様の多くがまず口にされるのが、「亡くなった親の財産が、『どこに』『いくら』あるのかわからない」という悩みです。子が親から離れて暮らすのが当たり前になった現代社会で、いきなり親が亡くなって相続が発生すると、遺留分や税金を計算しようにもどれだけの財産があるのか把握するのに苦労します。
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