子どもへの性加害、親が意外と知らない怖い実態 「優しいお兄さん」と思っていたら裏切られる事も
大学3年生の男性(20歳)が6月、8歳の女児に対する強制わいせつ致傷の疑いで逮捕された。子どもへの性犯罪は後を絶たず、保護者や学校は被害防止に神経をとがらせる。しかし専門家の話からは、加害者が親たちの想像を超えて周到、かつ計画的に子どもたちに近づいている実態が浮かび上がる。また加害者の中にはかつての「被害者」も多数含まれているなど、社会的にも根深い問題が潜んでいるという。
周到に準備 言葉巧みに
話を聞いたのは、小児性犯罪の再犯防止プログラムに関わる斉藤章佳・大船榎本クリニック精神保健福祉部長。斉藤氏は性犯罪者をはじめとする加害者臨床が専門で、著書に『「小児性愛」という病―それは、愛ではない』(ブックマン社)がある。2017年6月に「小児性愛障害」患者に特化した治療プログラムを日本で初めて立ち上げ、2022年6月現在、事件を起こした加害者、200人以上が受講した。
親の多くは子どもへの犯罪というと、人気のない場所で、怪しげな男性が逃げる子どもに襲いかかる……といった、極めて暴力的な犯行をイメージするのではないか。しかし斉藤氏は「多くの場合、加害者は『優しいお兄さん』として近づき、子どもの警戒心を解いて継続的な関係を築こうとします」と話す。
初対面の子なら、例えば体を使った遊びの中で、偶然を装って体を触る。何度か接触して、子どもたちの顔なじみになることも多い。そのうえでターゲットを定め、人気のない場所に誘導して要求に応じざるをえない状況へ、言葉巧みに子どもを追い込む。そのうえで口封じもする。
「加害者の中には、登下校の時間や通学路、親の監視の目が緩みがちな運動会などの行事日程を詳しく把握し、周到に準備する人も珍しくありません。ゲーム感覚で計画し、成功することで達成感を得るパターンもあります」
SNSを使って子どもに取り入る「オンライングルーミング」もある。
「家族や友人との関係がうまくいかず、『誰も自分をわかってくれない』と思っているような子に、加害者はカウンセラーさながらに親身に寄り添います」
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