手放せない思い出の品も…後悔せず片づけるコツ 大事な形見や卒業アルバムもこれでスッキリ

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明治生まれの祖父が残した置き物は、見れば、私を可愛がってくれた祖父の優しい気持ちが甦ってきて、「だから、捨てない」という気持ちになります。長年捨てられずにしまっていた物も、手に取れば、「大切だから捨てない」「思い出だから捨てない」の連続で、気がつけば、手放す決断がついた物は、結局、小さなごみ袋1袋分。

「こんなに強く決意して時間もかけたのに、私、いったい何をやってるの!?」と我に返り、「なぜ、捨ててはいけない」と思ってしまうのか、その理由をじっくり考えてみました。

「形見」ってなんだろう?

大切な大切な「形見」。なのに、飾ってもなければ、見てもいない。
それって大切にしていることになるの……?

「形見」とは、古来、人が旅立ったあと、親しい人たちがそれを見ることで故人の面影を偲び、想いを馳せ、心の拠りどころにしていた故人の遺品です。故人の面影……? それならば、現代は写真を見ればいつでも故人を思い出せます。今も続いている「形見」という概念は、写真という技術のない時代の名残りではないかと思ったのです。

もちろん、実際に使ったり、見たりしているのならば、心の拠り所になっている証拠なので、本当の意味の形見ですから、そのまま大切にしたほうがいいでしょう。また、代々続く名家の歴史的な物は、使っていなくても大切に次の世代に受け継いでいったほうがいいと思います。

でも、「これは先祖の形見だからね」と親から託されたから持っているだけ、というような形見は、見直していくのが令和の時代ではないでしょうか。見もしないものを持っているより、普段から仏壇やお墓にしっかりと手を合わせるほうがご先祖様も喜ぶと思うのです。

また、「自分が旅立ったあとは、それぞれが欲しいものを形見に持っていってもらうから、私は片づけません!」という声もよく耳にします。

でも、価値観が大きく違う次の世代が、喜んでもらってくれる物は、はたしてどれだけあるのでしょうか? ひと昔前のように物が不足していて、なんでもありがたくもらっていた時代と違い、自分の好みやセンスを重要視するのが、次世代の人々の傾向です。しかも、安価に物が手に入りやすい時代です。

いくら高価なアクセサリーを遺したとしても、好みに合わなければ、身に付けてはくれないでしょう。たとえ、「いらなければ捨てていい」と言い残したとしても、渡された側は、手放す際に心が痛むでしょう。

物を残される側がどう感じるか、立場を変えてしっかりと考えていくと、見えてくることがあります。

捨てられない物ナンバーワン、――それは「卒業アルバム」です。

私たち日本人は、思い出は大切に、と子どものころから言われ続けてきましたから、思い出の品の代表のともいえる卒業アルバムは、「持っているべき」と思い込んで、ずっと手元に置いてある人が大半だと思います。

たしかに思い出は大切です。でも、卒業してから、今日までに何回見ましたか? 私も長いこと持っていましたが、ほとんど見返したことはありませんでした。それって、本当の意味で大切にしていることになりませんよね?

次ページ「思い出は大切」という“呪縛”
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