厳しい?アメリカ「たばこ規制」はここまでやる 中毒者削減へ、たばこ会社にニコチン削減義務
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、従来型のたばこ製品に含まれるニコチン量の削減をメーカーに義務付ける方針だ。中毒性を引き下げることで、年間48万人にのぼる喫煙関連死を減らす。
同提案が実施に移されるまでには何年もかかる可能性があるが、実現すればアメリカの禁煙政策は世界の最前線に躍り出る。ほかに同様の計画を推し進めている国は、ニュージーランドだけだ。
「公衆衛生史上、類を見ない効果」
ただ、この計画は厳しい逆風に見舞われている。たばこ会社は、ニコチン含有量を大幅に制限する計画は違法だと主張。保守派からは、こうした政策を政府の越権行為と見なし、中間選挙の争点とする議員も出てきそうだ。
21日には具体的な内容はほとんど公表されなかったが、アメリカ政府のウェブサイトに掲載された通知によると、ニコチンの最大含有量に上限を設ける規制案を2023年5月に公布し、パブリックコメントを求める予定だという。
「たばこの害は主にその中毒性に起因し、喫煙者は有害物質に繰り返しさらされることになる。FDAは本措置により特定のたばこ製品の中毒性を引き下げ、中毒者が禁煙しやすいようにしていく」と通知には記されている。
FDAはそれ以上の説明を行わなかったものの、FDAのロバート・M・カリフ長官はウェブサイトに掲載した声明で次のように述べた。「中毒性を最小限に抑える、もしくは中毒にならない水準にまでニコチン含有量を引き下げれば、将来世代がたばこ中毒となる可能性は減り、すでに中毒状態となっている喫煙者の禁煙をいっそう促すものとなる」。
タールで肺を汚し、7000種類もの化学物質を放出し、がん・心臓病・肺疾患などを引き起こすたばこ製品に依存するアメリカ人を減らすため、同様の計画はこれまでにも幾度となく議論されてきた。ニコチンは電子たばこ、噛みたばこ、喫煙パッチ、トローチなどにも配合されているが、今回の提案はこれらの製品には適用されない。