任天堂「3DS」見参、再成長を占う2つのカギ

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 もう一つは販売地域の偏重だ。任天堂の場合、昨年のクリスマス商戦ではゲーム販売の7割を、米国と日本に依存した。「(3DS、ソニーの「NGP」と)ゲーム機投入が今年続くのは、世界へ出て行こうとする業界全体の意志と一致する。インドやアフリカの所得水準が上がれば、皆がゲームで遊ぶようになる」(辻本憲三・カプコン会長)。

すでに任天堂では欧州で顕在化する海賊行為を鑑み、3DSの海賊版対策を強化。さらに今後は、価格引き下げなどで新興国でも展開し、日米2極に偏った収益構成から脱却する必要がある。

昨秋、任天堂は円高や3DSの発売延期で業績を大幅下方修正し、任天堂株も年初来安値をつけた。かつては新機種を投入するたび、社会現象になった“任天堂神話”。再成長し市場の信認を取り戻すには、3DSで新たなゲームの概念を提案し、いかに未開の地を切り拓けるか。すべてはそこにかかっている。

◆任天堂の業績予想、会社概要はこちら

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(前野裕香 撮影:今祥雄 =週刊東洋経済2011年3月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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