パルコ大株主に急浮上 イオンが狙う“漁夫の利”


 森トラストは「イオンなら都市型業態への進出や海外展開などでパルコの価値を上げられる」(吉田副社長)とまんざらでもない。パルコの経営陣にとっては、イオンの提案に消極的な姿勢を取った場合、厳しい立場に追い込まれる可能性がある。

キャスティングボートを握ったかに見えるイオンだが、気掛かりはある。政投銀の動きだ。同行が保有する新株予約権付き社債には、10年9月から3年間の譲渡・転換制限が付いている。が、パルコの承諾があれば、普通株式へ転換できる。全額転換した場合、政投銀の保有率は18・7%となり、2位株主に躍り出る。

政投銀は静観か

銀行等株式保有制限法によって、銀行による民間企業への出資は制限されているが、政投銀にはそれがない。しかも同行は、昨年から友好的、安定的な(潜在)株主として、M&Aや海外戦略、資本戦略を支援する取り組みを強化している。パルコとの提携はその第1号案件だ。

ただ関係筋によれば、政投銀は基本的に権利を行使せず、潜在的な株主にとどまる公算が大きいという。少なくともイオンにとっては、政投銀を敵に回したくないというのが本音だろう。株式取得と同時に表明した、「話し合いを進めたい」という「その他の関係者」の中には、森トラストのみならず、政投銀もあるに違いない。

森トラストの吉田副社長は言う。「イオンがどのような具体案を提示してくるのか。こちらから動くつもりはないが、イオンと政投銀の調整がうまくいかなければ、当社が出ていくことになろう」。

「パルコ」は公園を意味するイタリア語。同社が社名に込めたのは、「人々が集う空間」という商業施設でくつろいだイメージだった。が、今パルコに集うのは、互いに腹の内を探りあうステークホルダーたち。社名に込めた思いとは裏腹に、当面は緊張した状況が続きそうだ。

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(浪川 攻、日暮良一 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年3月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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