スタバ以上の旋風?「ブルーボトル」の自信 あの会社とも交渉、でも結局は単独進出

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そのスタンスは1号店からも見て取れる。最寄り駅から徒歩7分程度と飲食店にとってはベストとは言えない立地だが、実は清澄白河は、今や独立系のコーヒー店が続々と進出する東京随一のカフェエリアとなっており、ブルーボトルが目指す地域密着型のコーヒー店が受け入れられやすい地盤なのである。

懸念は「資金を使い切れるか」

レセプションでは、店舗で販売するマフィンやグラノーラ、ペストリーなどが振る舞われた

店の作りもそうだ。倉庫のような店内には大きな窓があり、晴れた日には気持ちのいい日差しが差し込んできそう。店内や机の上にはちょっとした花が飾られており、フリーマン氏がコーヒーだけでなく、コーヒーを飲む空間にもこだわりを持っていることがわかる。

最近は、日本でも「サードプレイス」と呼ばれる、自宅や職場とは離れた心地いい居場所作りが話題になっているが、ブルーボトルが目指すのはまさにそうした、地域の人々が日々利用するようなコミュニティである。

倉庫のような店内には大きな窓が設けられている

現在、米国では大手オーガニックスーパーなどで物販を行っているが、フリーマン氏が完璧を求める余り、そこに至るまでも相当の時間を要している。こうした中、米国メディアでは「ブルーボトルに懸念があるとすれば、それは集めた資金を使い切れるかどうか」、と指摘される。今後、日本でも店舗展開に加え、物販などの事業展開の可能性もあるかもしれないが、スピーディーに話が進む感じでもなさそうだ。

日本では目下、セブン‐イレブンの「セブンカフェ」を筆頭に、コンビニや外食店入り乱れてのコーヒー戦争が勃発している。主役は安くて、うまくて、早い、コンビニコーヒー。一方、フリーマン氏が敬愛する昔ながらの喫茶店は、減る一方だ。コーヒーだけでなく、コーヒーがあるゆったりとしたライフスタイルを提案するブルーボトルは、日本でどこまで根付くだろうか。

(撮影:大澤 誠)

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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