「エニタイム」会長が取締役会の決定覆す異常事態 大株主として強権発動し、独自に役員提案

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そもそも会長が再任を求める高嶋氏とは何者なのか。

株主総会の招集通知などによれば、高嶋氏は1963年生まれ。1987年に村田製作所に入社後、2011年に株式会社大熊製作所の総務部長に就いている。この大熊製作所とは、ファストフィットネスの会長、大熊章氏が1986年から代表取締役を務めている会社だ。

大熊製作所はかつてエニタイムのFCを手がけていた時代があった。当時、大熊製作所の総務部長だった高嶋氏は同社でエニタイム店舗の事業を担当していた。そのFCをファストフィットネスグループが2012年に吸収し、それを機に高嶋氏がファストフィットネスの直営店運営子会社AFJ Projectの取締役とファストフィットネス本体の取締役に就いた。

また、現在もファストフィットネスの会長を務め、同社の事実上の筆頭株主である大熊章氏は1936年生まれ。ファストフィットネス創業メンバーらが、野村不動産グループ勤務時代に手がけたメガロス1号店(埼玉県草加市)の不動産オーナーが大熊製作所だった。

そうした経緯から、創業メンバーらがファストフィットネス設立時に大熊氏に資金的な協力を仰ぎ、大熊氏個人が大株主となった。資金的な面倒を見た大熊氏はファストフィットネスの会長に就任。現在も同社株を5割程度握っている(間接保有含む)。

指名報酬委員会から厳しい指摘

取締役会から独立した立場で候補者の選任や報酬額を決める指名報酬委員会は、高嶋氏の重任に反対した主な理由として「当社の監査等委員である取締役は(大株主である)大熊章氏の職務を監督することが重要かつ基本的な責務の一つ(中略)ところが、高嶋淳氏は大熊章氏を監督するどころか、大熊章氏の利益を代弁又は擁護」していると指摘。

さらに「頻繁に(大熊氏が代表を務める)株式会社大熊製作所に通う等、同社への無償の役務提供があったと疑われかねない不用意な行動が確認されており、大熊章氏からの独立性が確保されているとは必ずしも言えない状態」と糾弾している。

ファストフィットネスの指名報酬委員会は社内取締役が2人、社外取締役が3人の計5人で構成されている。関係者によれば、高嶋氏の再任に強く反対していたのは、社外取の3人だった。

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