「エニタイム」会長が取締役会の決定覆す異常事態 大株主として強権発動し、独自に役員提案
指名報酬委員会によって取締役の候補から外された高嶋氏は、返す刀で自らを取締役候補に含めた株主提案を大熊会長らと共に提出。自身を「外した」社外取3人を役員候補から排除し、新任の候補者で固めている。
甚だしく不適切なガバナンス
一連の事態を専門家はどう見ているのか。コーポレートガバナンスや監査の実務に詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏は「本来独立した立場であるべき監査等委員が、特定の株主にくみすることはあってはならない。取締役としても、外部の視点を取り入れつつ、上場企業として健全な運営をしていくという近年のガバナンスの考え方とは真逆の行いだ」と指摘している。
さらに「指名報酬委員会が(高嶋氏を)再任しなかったのは、ガバナンスが機能した結果と受け止めるべきだ。自分たちの提案が会社提案よりも企業価値の向上につながるというのであれば、少数株主に対して丁寧に説明するべき」という。
大熊会長自身は会社提案の取締役人事案でも再任となっており、自身が会社を追われるわけではない。にもかかわらず、株主提案してまで高嶋氏を取締役として残そうとするのはなぜなのか。その真意はわからず、社内外の関係者が首をかしげている。
大熊会長らの株主提案に対しては、従業員からも反対意見が出されている。「株主提案に対する反対意見」と題した従業員有志のプレスリリースによると、ファストフィットネスの本部長や部長など21人のうち、会社案には16人が賛成、2人が棄権し、株主提案に賛成した人はいなかった。
このままいけば実質的に5割超の株式を握る大熊会長が議決権を行使するだけで株主提案が可決されることになるだけに、会社側は「上場企業としてあるまじきガバナンス不全に陥る」と危機感を募らせる。
株主提案の内容が開示された5月23日以降、約1カ月でファストフィットネスの株価は25%以上下落。企業価値は時価総額ベースで約87億円も下がった。大熊会長と高嶋氏は株主総会の場で機関投資家も含めた少数株主を納得させ、株主提案を企業価値の向上につなげることができるのか。株主総会は6月23日、都内で午前10時から開催される。
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