ついに動き出した大手銀グル-プの顧問制度改革 先頭を切りみずほFG顧問制度に75歳定年制導入へ

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みずほフィナンシャルグループ(FG)は、歴代社長経験者らが就いてきた「顧問」に定年制を導入する方針を固めた。顧問に明確な任期を定めるのは大手行で初めて。ガバナンス(企業統治)改革の一環で、ルールを厳格化して透明性を高める。事情に詳しい複数の関係者が21日、明らかにした。

みずほのロゴマークSource: Bloomberg

  みずほでは歴代の社長や傘下銀行の頭取など、トップ経験者が現役最終ポストに応じて「常任顧問」や「名誉顧問」に就任し、経済団体活動や社会貢献活動に携わってきた。これまで名誉顧問の任期は「終身」となっていた。常任顧問の任期は66歳だが、その後、名誉顧問に就任するケースもあった。顧問は経営に関与しない前提で、原則として無報酬としている。

関係者によると、新制度では常任・名誉顧問について、今後は「特別顧問」に一本化した上で、2023年7月から75歳の定年制を適用する。これに伴い現在8人いる名誉顧問は6人が退任する予定だ。

     2月に就任した木原正裕社長(56)はシステム障害が多発した問題を受け、ガバナンス改革を進めている。顧問制度についても、必要性や有用性を検討した結果、規律ある運営のためにはルールを厳格化し、ガバナンスの透明性を高める必要があると判断した。一連の改革により「顧問ポスト」は特別顧問だけとなる。

「顧問」の意義

関係者によると、特別顧問への就任は原則として、FG社長経験者のみとし、任期は1年更新の最長6年とする。活動状況を従来以上に開示することも検討する。こうした新制度の概要は7月に公表する「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に盛り込む。

    みずほの広報担当者は、「コーポレートガバナンスのあるべき姿、透明性の確保といった観点からの改定を具体的に検討しており、適時、適切なタイミングで開示していく」とコメントした。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループのガバナンス報告書によると、両社はこれまでのところ顧問の任期について明確に定めていない。顧問への定年制導入は日本企業としても珍しい動きだ。東京証券取引所は18年から上場企業に相談役・顧問の実態や役割を開示するよう求めている。

試される企業風土改革 

経済産業省はコーポレートガバナンス・システムに関する実務指針の中で、企業トップが退任後に相談役や顧問として社会活動や公益的職務に取り組むことには意義もあるとする一方、現役経営陣への不当な影響力の行使や、誰が実質的に経営トップを担っているか分からないといった弊害も指摘されているとしている。

  みずほFG傘下のみずほ銀行は昨年、システム障害問題を受け、坂井辰史FG社長らが引責辞任した。ことし2月にトップに就いた木原社長は就任会見で「企業風土を大胆に変革していきたい」とし、「経営として意見を受け止め、変わったと見せることが重要だ」と変革への意思を強く打ち出していた。

  銀行業界では慣例として、トップ経験者は退任後に顧問として処遇され、財界活動や財団法人の役員・理事、取引先企業のアドバイス役などを引き受けてきた。顧問を巡っては秘書や社用車、個室があてがわれるなどの厚遇に批判の声もあった。

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著者:布施太郎、浦中大我

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