天安門事件被害者が憤る台湾前総統の親中姿勢 民主主義を求める行動に対し批判、中国擁護も
さらに、この声明に激しく憤ったのが、天安門事件で学生側のリーダーだった王丹氏だ。王氏は北京大学在学中に運動に加わり学生らを率いた。事件後、逮捕収監されるが、国際的な圧力が功を奏し国外に逃れる。その後、アメリカに亡命し台湾にも滞在していたが、現在はアメリカ在住である。
王氏は2022年6月5日にフェイスブックで、まず馬氏を馬某と呼称し、声明を信じがたいものと評した。そして、習氏の談話を肯定する前に、なぜ完全に自由がなくなった香港や、強制収容所と化した新疆ウイグル自治区、天安門事件の被害者や遺族について触れようとしないのかを問題視した。さらに、ゼロコロナ政策の下で人権を無視した防疫措置が行われた上海をも無視する姿勢に、「これらを知らないなら愚か者、知っていて触れないのなら悪人」と喝破した。
「事件の被害者の傷に塩を塗る行為だ」
そして、この声明は習氏と共産党を阿諛追従(あゆついしょう)したものだとし、事件の被害者らの癒えない傷に塩を塗る行為だと断罪した。
ちなみに中国からはフェイスブックに自由にアクセスできない。つまり馬氏のこの声明は中国の一般の人々には直接届くものではない。馬氏にとって天安門事件は、単なる呼び掛けの口実で、どうでもいいことなのだと思わざるをえないのだ。
馬氏の発言とは裏腹に、2022年6月2日から12日までの10日間、現在の国民党主席である朱立倫氏が訪米し、同党の「親米」を盛んに訴えた。しかし、党内で馬氏や親中派が依然として強い影響力を持つ中、アメリカが朱氏や国民党を信用することに懐疑的だとする意見が多いという。そしてこの声明がアメリカに「脱・国民党」を加速化させる可能性は十分にあるのだ。そういう意味で馬氏の今年の「六四」天安門事件声明はとても重要なものなのかもしれない。
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