選挙に連敗した台湾の国民党に未来はあるのか 国会議員補選に負け、リコールも拒否され…

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中正紀念堂の「蒋介石」の像。中国国民党の永久総裁として、現在の国民党をどう考えているだろうか(写真・skipinof/PIXTA)

2022年1月9日、立法院(国会)議員のリコールに端を発した選挙戦が幕を閉じた。結論から言えば、最大野党の中国国民党(国民党)は2つの選挙に敗北した。1つは2021年10月23日にリコールが成立した台中・陳柏惟氏(台湾基進党)の補欠選挙で、与党・民主進歩党(民進党)籍の林静儀氏が、地元出身で国民党籍の顔寛恒氏を8万8752対8万0912、7840票差(投票率58.26%)で破った。

もう1つは、台湾の人気ヘビメタグループ「ソニック」のボーカルで、立法委員(国会議員)でもあるフレディ・リムこと林昶佐氏(無所属)へのリコール投票である。リコール賛成票が5万4813に対し、反対は4万3340で、賛成が反対を上回ったが、有権者の25%にあたる5万8756票のハードルに届かず成立しなかった。

国民党は選挙に敗北しリコールで自滅

今回の選挙戦の性格を言えば、与党陣営が連勝したというより、民主政治における議員へのリコール制度を逆手に取って、現職を引きずり降ろそうとした国民党の敗退・自滅と言ったほうが適切かもしれない。リコールを要求したのは、正式には市民団体や無所属議員だが、両選挙で国民党が支持と応援を行っていること。また、党内急進派による「報復」的な要素が色濃いものだった。(東洋経済オンライン「台湾の人気ヘビメタ国会議員がリコールの危機」2021年12月28日を参照)

2021年9月25日に国民党の党主席に返り咲いた朱立倫氏にとって、過度の親中路線は台湾の民意と相いれず、人々の支持を得にくいことは理解しているだろう。目標とする2022年11月の統一地方選と、2024年の総統選挙で勝利して政権を奪還するには、少なくとも親中路線をぼかす必要がある。しかし党内では、元高雄市長の韓国瑜氏や朱氏と主席選を争った張亜中氏に代表される急進的な親中派の影響力が大きくなっており、党内をまとめようとすれば彼らの存在を無視できない。朱氏としては、台中の補欠選挙と台北のリコール投票の両方で勝利して指導力をアピールしつつ、その勢いで統一地方選と総統選挙の2つの選挙に臨みたいところだった。

ところが、結果は朱氏にとって最悪の状況になったと言える。この連敗で党勢の回復どころか致命的な状況に陥った可能性がある。敗戦から一夜明けた昼間に、記者らの前に現れ、敗北の責任は自分にあると語った朱氏だが、選挙当日夜に行われた記者会見には出席しなかったことから、朱氏らのショックの大きさがうかがえる。

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