台湾の日本産食品輸入解禁に反対する国民党 日本産品輸入で「子孫が途絶える」と発言

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2月8日に日本食品の輸入規制措置に関する記者会見を開いた台湾政府(写真・台湾行政院提供)

2022年2月8日、台湾行政院(内閣府)は「日本食品輸入規制措置」に関する記者会見を開催した。羅秉成・行政院(内閣)発言人(報道官)が司会を務め、鄧振中・行政院政務委員、陳時中・衛生福利部部長(大臣)、王美花・経済部長、呉釗燮・外交部長、陳吉仲・行政院農業委員会副主任ら関係部門責任者も出席し、福島第1原発事故に端を発した福島など5県産食品の完全輸入禁止措置を、野生動物やキノコ以外一部の品目を除き解除すると発表した。5県以外も含め日本産のすべての食品に産地証明書の添付は引き続き求めるものとし、2015年からの規制措置は継続される。とは言え、完全な輸入禁止自体は解除される。

かつて国民党が輸入解禁を主導

発表後、日台の関係者間で安堵と期待が広がったのは想像にかたくない。なぜなら関係良好と言われる日台関係で、唯一にして最大の懸案とされたのがこの問題だったからだ。一方、この日を境に、台湾の野党・中国国民党(国民党)による攻勢も加速していった。

実は、かつて福島など5県産食品の輸入解禁に向けて台湾が前向きに動いた時期があった。2015年の馬英九総統の時代である。馬総統自身、当初は解禁に前向きだったと言われている。2015年4月8日、国民党内の台湾派重鎮の王金平立法院長(国会議長、当時)と超党派で結成された議員団が来日。現在の岸信夫防衛相を会長とする自由民主党「日本・台湾経済文化交流を促進する若手議員の会」のメンバーらと座談会を開催し、さらに森田健作千葉県知事(当時)と「千葉県農林総合研究センター」を訪問した。周囲は解禁に向けたムードが一気に広がったという。

ところが、当時は野党だった民主進歩党(民進党)内で輸入解禁に反対の声が上がる。そして2014年に発生したひまわり学生運動で王氏との関係が悪化した馬総統が、王氏主導の解禁の動きを快く思わず輸入解禁を棚上げ。翌2016年に与党に復帰した民進党に問題を丸投げしたのだった。

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