ペットを売らないペットショップが当然になる訳 動物愛護管理法の規制が年々強化されている
筆者が驚いたことの一つにAC広告がある。公益社団法人ACジャパン(ADVERTISING COUNCIL JAPAN)が提供する「一目惚れ」と題する広告だ。見たことのある人も多いだろう。
夫婦と思しきカップルがペットショップに入り、プードルの子犬に一目惚れ。店員とのやりとりも明るく進み、プードルの顔がアップになったところで雰囲気は一転し、「その一目惚れ、迷惑です」という愛犬家で知られる俳優遠藤憲一の声。衝動買いを慎み、いのちを大切にしようと訴える遠藤さんのナレーションとなる。
ACジャパンはその企画趣旨について、「可愛いからという一瞬の衝動で飼うのではなくいのちを預かる大切さを、飼う人にも、お店の人にも考えてほしい」としている。ペット業界からクレームが来てもおかしくないような内容に驚くとともに時代の変化を感じた。
最近では、今月から犬や猫に所有者情報などがわかるマイクロチップを装着することがペットの繁殖・販売業者に義務づけられたことがニュースとなっている。チップは直径1.5ミリ、長さ1センチほどの円筒形。獣医師が専用の注入器で首の後ろ辺りに埋め込む。
15桁の識別番号が記録されており、自治体などが専用の読み取り機をかざすと番号が表示され、データベースに登録された情報をたどれる。迷子の発見に役立つほか、捨て犬・捨て猫の抑止効果も期待されてのことだ。
ペットを購入する消費者の責任
ペットは最近、コンパニオンアニマルともいわれ、「家族」と思う人も多い。その一方で、多頭飼い等による虐待や安易な飼育放棄も見られる。フランスの例のようにいのちを商品のように陳列し、販売するという「入口」の問題を解決せずして、殺処分という「出口」の問題は解決しないという考えも日増しに強くなっている。
市場で販売されている商品すべてが必ず売れるということはない。同様にペットショップで自分の好みのペットを選べるということは、選ばなかったペットがいるということであり、どうしても選ばれなかったペットが出てくる。売れ残ったペットの行方も気になる。消費者には、選ばなかったペットへの責任もあるのではないだろうか。
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