イスラム国の蛮行を英メディアはこう報じた 日本がテロ戦争へ参加するかどうかを注視
日本が欧米諸国とともに「テロの戦い」にもっと深く参加するべき、参加して欲しいという思いが英国の識者の中にはあるようだ。
それが如実に現れているのが電子版2日付のFTの社説「日本のテロへの反応は孤立であるべきではない」だ。
FTは人質事件によって、日本で「受動的な国際上の役割を維持する声」が大きくなる可能性を懸念している。人質拘束後に、安倍首相が2億ドルに上る人道支援を中東諸国に提供すると確約したことで、首相の批判者たちが「タイミングが悪かった」「人質の状況を悪化させた」「日本はグローバルなプロフィールを大きくしようとしないほうがいい」と言いだした。これをFTは懸念している。
日本はエンゲージメントに参加するべき?
「しかし」、とFTは続ける。この事件が「安倍首相が計画している憲法上の変化の土台を壊してはならない」。現行の憲法は「同盟国が攻撃を受けた場合に支援することを禁じている」。
最後の段落で、社説は「後藤氏と湯川氏の殺害はどんな国も、たとえ平和主義の国であっても、イスラム戦闘勢力の心無い暴力から逃れられないことを示した。日本の反応は国際的なエンゲージメントに根ざすものであるべきで、新たな孤立であるべきではない」と締めている。ここでいう「国際的なエンゲージメント」は、ここまでの文章の流れから判断すると、戦闘も含めてのテロ戦参加を意味するようだ。
ガーディアンの分析記事はFTほど"過激"ではない(紙版2日付)。ジャスティン・マッカリー記者が書いた記事には、慎重なトーンがある。記事には「安倍流の平和主義のテスト」という見出しがついている(電子版は1日付のもので、見出しや記事内容に若干変更がある)。
マッカリー記者は今回の事件で、首相の「積極的平和主義」が試されることになったという。つまり、憲法9条に縛られた自衛隊を自由にしたいという自分の思いを、後藤さんの殺害をきっかけとして前向きに動かせる状況が生じたとも言えるからだ。
しかし、オークランド大学日本研究の教授マーク・マリンズ氏のコメントによれば、「政府は『テロとの戦争』に参加するため」、自衛権の拡大を目指すかもしれないが、これを可能にする法律を「国会に通す必要がある」。今回の事件によって「国の先行きについて議論が発生する」見込みがある、と指摘する。
最後はテンプル大学日本校のアジア研究ディレクター、ジェフリー・キングストン氏のコメントが入っている。「これから国民の議論がどちらに向かうのかははっきりしない」。ただ、国民は「反ISISの軍隊に参加する場合のリスクについてさえ、不安感を持っているのではないか」。
FTの社説が主張するような方向に日本が向かうのか、向かうべきなのか。あるいはキングストン氏の言うところの「国民の不安感」が自衛権拡大にブレーキをかけるのか。英メディアの記者陣は、政府閣僚のコメントや国民の声に注目している。
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