イスラム国の蛮行を英メディアはこう報じた 日本がテロ戦争へ参加するかどうかを注視

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国際報道の重要さ、ジャーナリズムの意義が広く認知されている英国で、「ジャーナリストが仕事中に命を落とした」場合、メディアはその名誉を後々にまで伝えるため、熱い報道記事を残す。

これを如実に現すのが、BBCが作成した、最後に亡くなった後藤健二さんについての充実したプロフィール記事だろう。

最初に「紛争地の市民の苦しみを紹介することに力を入れた、映像作家でベテランのジャーナリスト」として後藤さんは紹介されている。シリアに行く前に「自分の身に何か起きたら、シリアの人を責めないでください」と言ったことや、著作があること、自分の会社インデペンデント・プレスを立ち上げたことが記されている。

その後にはNHKやテレビ朝日でのリポート、日本の「クリスチャン・トゥデー」でのインタビューなどにリンクが貼ってあり、仕事ぶりが良く分かるようになっている。

危険を承知で紛争地に出かけ、自分の命が危なくなったときのことまで考えた人、重要な仕事をした人という情報が頭に入ってくる。ジャーナリスト後藤さんへの敬意がにじみ出た記事だ。

後藤さんの殺害動画が公表された後のメディアの第一報の見出し(1日から2日)を見ると、「ISによる後藤健二さんの『斬首』に日本で怒り」(BBC),「ISISによって殺害されたジャーナリストを日本が追悼する」(ガーディアン紙)、「ISISが人質の斬首は日本への殺りくと警告」(サンデー・タイムズ紙)、「ケンジは死んだ。私の心は壊れているー殺害された人質の母が威厳のある悲しみ」(インディペンデント紙)。

「日本の分水嶺になった」

今回の事件についての分析記事、論考に注目してみると、「外交政策が今後どう変わるか」そして「テロ防御とどう関わっていくか」に関心が向いている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)の記事「ISISによる人質殺害は日本にテロについての再考を求めている(Isis killing of hostages prompts Japan rethink on terrorism) 」(電子版2日付)でロビン・ハーディング記者は、後藤さんの死が日本にとって「分水嶺になった」と書く。

外交政策研究所の宮家邦彦代表による、今回の事件は日本にとって2001年の「米国の9・11テロに相当する。(過去の)善意や崇高な意図はもう通用しない」というコメントが紹介されている。

ハーディング記者は「第2次大戦の後に平和憲法が押し付けられ、イスラム教徒人口も少ないために、日本は西欧諸国でのイスラム過激主義への戦いからは離れていた」と書く。

日本が集団的自衛権の行使をできるように目指している安倍首相にとっては人質事件は助けになるかもしれないが、「国会での答弁を見ている限り、首相は今が憲法変更への最善のときとは考えてはいないようだ」。

しかし、事件が変えそうな分野が一つある、と記者は指摘する。それは移民である。高齢化が進み、人口減に向かう日本には「移民が必要だと多くの経済学者は指摘する」のだが、と記者は書く。最後に日本の大手企業の幹部のコメントで記事は終わる。「もし日本でイスラム教がかかわるテロが発生すれば、これで移民改革の議論はなくなるだろう」。

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