「野党不在の民主主義」が加速させる日本の衰退 野党も自民党と変わらず利益誘導を競う異様さ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

であるからこそ野党の存在が重要になってくる。

財政危機、少子高齢化、維持可能な社会保障制度の構築など、日本が直面している大きな問題に正面から向き合い解決策を作り上げる。そのためには政策だけでなく、政策決定過程のあり方などを含めた統治システムの見直しも不可欠だろう。

アメリカをはじめ多くの国では「大きな政府」の立場をとる政党と、歳出削減と財政収支のバランスを重視する「小さな政府」を掲げる政党があって、政策を競い、政権交代を繰り返している。

野党は従来路線では支持率低迷から脱せず

ところが日本では、国政選挙のたびに主要政党がこぞって減税とともにあらゆる分野への積極的な財政支出を競うが、財源についてはほとんど触れることはない。すべての政党が「大きな政府」の立場にたち、利益誘導を競演する異様な国だ。これでは実績と実行力のある自民党の優位が揺らぐわけがない。

野党には発想の転換が必要だ。支持率10%程度の政党が、従来路線で政権交代を目指しても無意味である。目先の国政選挙の獲得議席数に一喜一憂することなく、時間はかかるだろうが地道に人材を発掘し、党内議論を積み重ねて政策を磨くとともに、組織を拡大して国民の支持を広げていくしかないだろう。第一段階として、自民党一強の政治に緊張感を持たせ健全な民主主義が機能するような存在になってもらいたい。

薬師寺 克行 東洋大学教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やくしじ かつゆき / Katsuyuki Yakushiji

1979年東京大学卒、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸や外務省などを担当。論説委員、月刊『論座』編集長、政治部長などを務める。2011年より東洋大学社会学部教授。国際問題研究所客員研究員。専門は現代日本政治、日本外交。主な著書に『現代日本政治史』(有斐閣、2014年)、『激論! ナショナリズムと外交』(講談社、2014年)、『証言 民主党政権』(講談社、2012年)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事