役所広司「仕事は怠けようとする自分との戦い」 準備をする中で必ず何かのヒントが見つかる

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(C)2020「峠 最後のサムライ」製作委員会

――役所さんは俳優として花開き、本作では仲代達矢さんとも共演されました。

仲代さんは前長岡藩主の牧野雪堂役を演じていらして、僕にとっては役同様、殿様のような存在ですから、その気持ちを持ってそのまま演じました。牧野の殿の台詞で「継之助にまかせる」と言われたときは、ものすごい緊張と重圧を感じました。

――仲代さんの「継之助にまかせる」という台詞は、役所さんにとっては「日本映画界をまかせた」という意味にも受け取れたのでは?

そんなに大それた意味には、僕ではおこがましくて受け取れません。ただ現場が若い人と年齢層の高い人の混合チームだったので、「こうして映画界は継承されていくんだな」という事実がよくわかる、小泉堯史(こいずみ・たかし)監督率いる「小泉組」でした。

俳優も然り。若手もいれば香川京子さんや井川比佐志さんなど、黒澤明監督の作品を支えてきたみなさんたちもいて、一緒に仕事をさせていただき、俳優人生の財産になりました。

――若手の俳優さんとも共演されているので、役所さんが下の世代に継承したいこともうかがいたいです。

いやいや、僕自身が受け継いでほしいなんてことは何もないので、継承できるものはないに等しいです。若い頃は先輩の俳優さんたちが台詞を覚えられず苦労されている姿を見てきて、それでも頑張っている姿を見て勇気をもらってきました。

僕も若い頃と比較すると台詞覚えに時間がかかるようにはなりましたが、まだギリギリセーフかな(笑)。ですから、60代の俳優が必死に奮闘する姿を見せられればいいと思う。ただそれだけです。

映画:『峠 最後のサムライ』6月17日(金)よりロードショー
出演:役所広司、松たか子 香川京子 田中泯 永山絢斗、芳根京子、AKIRA、佐々木蔵之介、吉岡秀隆、仲代達矢 他
監督・脚本:小泉堯史 原作:司馬遼太郎「峠」(新潮文庫刊) 音楽:加古隆   スタイリング:安野ともこ、ヘアメイク:勇見勝彦(THYMON Inc)、衣装協力:ブルネロ クチネリ ジャパン株式会社
内埜 さくら フリーインタビュアー、ライター

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うちの さくら / Sakura Uchino

フリーインタビュアー
2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。女性の生き方や恋愛コラムも手がける。

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