83歳、余命2カ月だった彼女が最期に味わった奇跡 祖母の家で孫2人が挙げた「家族だけの結婚式」
その姿に歓喜の声を上げたのが、新郎の兄弟2人。というのも、「自宅での結婚式を特別のものにしたい」と考えていた前田さんは、香山さんと新郎新婦がドレスアップする過程をお互い見せないように演出していたのだ。
新郎2人が身支度を終えたばかりの祖母の部屋を訪ねると、「わぁ~おばあちゃん、すごい素敵!」と感動の拍手。
香山さんはタキシード姿の兄弟のもとに駆け寄り、「2人ともカッコいいね。おばあちゃん、感激だよ」と兄弟の肩を抱き、しばらくうつむいたまま目に涙をためていた。
なつかしい祖父母の家の食卓での結婚式
式のメイン会場であるダイニングキッチンに、新郎2人が祖母を連れて入場すると、待ち構えていた家族や親戚、近所の人たちが拍手喝采でお出迎え。
続いて、美しくドレスアップした新婦が入場した途端、香山さんは感激のあまり、椅子からすくっと立ち上がって、「おめでとう、おめでとう」と新婦を力いっぱい抱きしめた。
「かなえるナース」では、式のプログラムを本人の体調がいい場合と悪い場合の最低2パターンはつくる。病状によっては、体力の残り具合を想定して最大6パターン準備することもあるという。
「式は短ければ短いほど患者さんの負担は軽くなりますが、それではせっかくのおめでたい場が味気ないものになってしまいます。ですので、どの儀式を優先して、どの儀式を後回しにするか、ご本人の体調を細かくチェックしながらプログラムを調整します」
中でも最も外せない儀式は、「記念撮影」と「新郎新婦からの感謝の手紙」。特に普段なかなか言えない言葉を真っ直ぐに伝えられる感謝の手紙は、家族の心に生涯残るものだけに欠かしてはいけないのだと前田さん。そのため、この2つは式の終盤ではなく、最初に組み込むことが多い。
この日も、最初に記念撮影を行い、その後すぐに新郎新婦からの感謝の手紙が読まれた。まずはしっかり者のお兄さんから祖父母に心のこもった手紙が送られ、ミュージシャンでもある弟さんからは、祖母のために書きおろしたという歌が披露された。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら