インドの大手財閥タタグループと関係強化する、みずほFグループの狙いは?

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インドの大手財閥タタグループと関係強化する、みずほFグループの狙いは?

メガバンクグループが海外事業の拡大を目指す中、みずほフィナンシャルグループがインド事業拡大に向けた独自のパイプ強化を図っている。

同社は17日、インドの大手財閥であるタタグループと関係強化の覚書を交わした。主な内容は、日本とインドのビジネスマッチングとファイナンスにおけるサポートなど。その皮切りに、タタグループが新たに立ち上げる投資ファンドに対して、数十億円の投資を行う。

タタグループは、自動車や鉄鋼、電力、化学など幅広い分野に事業会社を持つコングロマリット。傘下の会社は90社を越え、世界で約40万人を雇用し、売り上げ約670億円ドル(2009年度)のうち約6割を国外で稼いでいる。みずほは、08年には金融会社タタ・キャピタルと業務提携の覚書を締結しており、取引関係は従来からあった。昨年は、みずほ証券がタタキャピタルと投資ファンド運営会社に共同出資している。

今回は巨額の資金をつぎ込む事業買収ではないため、業績に拡大には直結しない。ただ、巨大企業との「パイプ」を太くしたという点が特徴的だ。みずほがタタ会長をはじめグループ企業の幹部を日本に招いて個別の商談会を行ったように、高い技術力を持つ日本企業に対するタタ側の関心は高い。一方、独自の技術を持っていても海外展開の手がかりに欠く企業からすれば、タタと関係を持つみずほがいい橋渡し役になる。みずほとすれば、企業の海外進出や事業化などが具体化すれば、ファイナンスなど金融サービスを提供する機会が広がることになる。

邦銀関係者は「日本企業の情報を持っていることが、海外へ出て行くうえでの我々の強み」と話す。もっとも、関係強化を推し進めるみずほだが、タタグループ向けの融資取引はまだ10社もないという。今後、日本企業とのビジネス交流を深めることで、いかに自身のプレゼンスを高め、タタグループ向けはもちろん、海外進出企業や地元企業向けの融資拡大という好循環を生み出せるかがポイントになる。

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