広報をよくわかってない人が知らない3つの逆説 BtoBや中小、初心者にもチャンスは広がっている

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いくら頑張っても評価されない会社に、優秀な広報はいつまでもとどまってはくれません。広報担当者がどんどん退職していくような会社は、メディアからも信用されません。そうなれば、前向きな記事を増やすどころか、ネガティブな記事がどんどん出ていくリスクすらあります。

逆に優秀な広報担当者が成長すれば、前向きなメディア露出を通じて自社の認知度や知名度を上げ、間接的に売り上げ向上などにも貢献できます。広報部門は、決して軽視できる存在ではないのです。

間違った思い込み③
「経験豊富な広報ほど信頼される」

企業の広報担当者の代表的な間違った思い込みに、「広報経験が浅いとメディアの記者から相手にしてもらえない」「広報を長くやっていれば、メディア掲載数は自然に増えていく」というものがあります。

しかし、私の長年の記者としての経験から言うと、この「広報業界の常識」は少なくとも半分は間違っています。

その証拠に、私は20年以上新聞記者をしていましたが、記者時代に「取材先の広報担当者が何年くらい広報部に所属しているか」をこちらから聞いたり、気にしたりしたことは一度たりともありませんでした。

「広報の経験が浅いのですが……」という謙虚な広報の方にはできる限り親切にし、必要な情報を共有するようにしていました。むしろ、「自分は広報経験が長いから、記者は自分の言うとおりにしろ」というような高圧的な態度を取る広報の方とは、できるだけ仕事をしないようにしていたものです。

メディアからの取材をひととおり経験し、報道について一定以上の知識を持っている広報担当者や経営者でも、「自分は経験豊富だから、メディアのさばき方は心得ている」などと思っていると、その過信が知らず知らずのうちに態度に表れてしまうものです。広報担当者が高圧的な態度を取れば、記者にはすぐに見抜かれ、評判が悪くなります。

広報担当者の経験がどうあれ、「信頼できない」「不誠実」な人だと見られてしまえば、記者との関係は悪化し、前向きな記事にしてもらいづらくなってしまうのです。

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もちろん広報経験が長くても、謙虚で丁寧な担当者もたくさんいらっしゃいます。取材の現場にいたころの私も、そういう方々には丁寧かつ誠実に対応するように心がけました。これは私だけでなく、ほとんどの記者がそうしていることです。

記者も1人の人間ですから、嫌いな人よりも好きな人と一緒に仕事をしたいわけですね。記者にとっては、信頼できる広報こそが最も重要な取材源であり、担当者の経験の長さは、一緒に仕事をしたいかどうかにはほとんど関係ない、というのが真実です。

私は、企業が広報活動を成功させるための第一歩は、「自分だってやれる!」という担当者の希望と熱意、根拠のない自信だと思っています。そのうえで、広報業界に蔓延している固定観念や常識をいったん捨て去ることが重要です。

日高 広太郎 広報コンサルタント、ジャーナリスト

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ひだか こうたろう / Kotaro Hidaka

1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。その後、小売店など企業担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年に東証一部上場のBtoB企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。クライアント企業のメディア掲載数を急増させている。

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