1本5000円「幻のビール」、飲んでわかった"凄み" 度数8.5%と高めだが、飲みづらさは一切なし

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しかし、どんなビールをどんな樽でどれくらい寝かせるかといった組み合わせは大変難しく、試行錯誤の連続で、なんと理想のビールができるまでには9年もかかったそうです。そして量をたくさんつくることもできないため、抽選販売。つまりお金を払えばだれでも飲めるわけではないところが、またこのビールの希少性を高めています。

印象的な味わいなのにバランスよく飲み飽きない

それでは「醸造家の夢の形」を、さっそくいただいてみましょう。グラスに並々と注がれたビールの泡はきめ細やかで美しく、爽やかな熟成香が鼻孔をくすぐります。ひと口、口内に含めばいっぱいに広がるふくよかで柔らかな味わい。苦味・甘味・コクともどれかが飛び出すことなく、バランスの取れたまろやかな風味が特徴的。これはキンキンに冷やさないほうがよりおいしいヤツです。

アルコール度数は8.5%と一般的なビールよりも高いのですが、飲みづらさは一切感じません。クラフトビールでは個性が強すぎて量を飲めないビールもありますが、こちらは美味しいワインと一緒で飲み飽きることがなさそう。取材はまだ午前中だというのに、もう、午後のことなんかどうでもよくなってしまいます。罪なビール……。

サントリービール 商品開発研究部 部長 丸橋太一さん(左)とマーケティング本部 プレミアム戦略部長 多田 寅さん

それにしても1本5000円って高過ぎじゃありませんか? と担当の方に聞いてみると、「いやいや、この1本にかける手間を考えると、赤字とは申しませんが、まさにギリギリの価格でやらせていただいています」とのこと。そのお言葉、信じましょう。

世界には極めて特殊な方法で作られた超高額なビールもいくつかありますが、あくまで“うまいビール”を目指して素材や製法にとことんこだわって作った結果、ここまで高額になったというのは、実は世界でも例がないのではないでしょうか。その心意気に「あっぱれ!」。

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