ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然 エディオンと提携、メーカー出身者も続々採用

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2021年1月の島忠統合でホームセンター領域へ進出した後も、似鳥会長はさらなる商材・業容拡張の可能性を示唆してきた。2022年3月末の決算会見では「私としては住関連の総合企業になりたい。ヤマダデンキのような、住関連の提案企業というやり方は正しいと思う」とも語っていた。

「第2の柱」育成での成果乏しく

ニトリが家電などの開拓を加速させるのは必然の流れでもある。総務省と経済産業省による経済構造実態調査によれば、国内における家具などの小売市場規模は約1.8兆円(2019年)。ニトリの連結売上高は8115億円(2022年2月期)で、インテリアなどを除いた家具のみの国内売り上げは公表していないものの、すでに相当の市場シェアを取っている。

エディオン側も、ニトリとの提携により商材拡張などのシナジーを見込む(記者撮影)

一方、家電の国内市場規模は約4.8兆円(2020年、経済産業省の商業動態統計調べ)。似鳥会長がかねて掲げてきた「2032年に3兆円」という大目標を達成するためにも、さらなるシェア拡大の余地が乏しい家具以外で、単価が高く市場規模も大きい家電に攻め込むのは正攻法と言える。

ただ、中国などの海外展開や、島忠統合によるホームセンター進出といった、ニトリが“新天地”で繰り広げる拡大戦略で大きな成果を出したものは現状ない。国内で圧倒的地位を築いた家具・インテリアのSPA(製造小売り)のビジネスモデルが強すぎるだけに、第2の収益柱を育てるノウハウはまだ蓄積途上だ。

円安や原材料費・運賃の高騰など、今のニトリには強い逆風も吹く。エディオンとの協業により、家電攻略への突破口を開けるか。今後の展開次第で、ニトリにとって即効性も持続性もある有効な一手となる可能性を秘めている。

「ニトリ、強気の連続記録更新を揺さぶる大試練」(2022年4月配信)はこちら
山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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