ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然 エディオンと提携、メーカー出身者も続々採用

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エディオンとの提携以前から、ニトリは“家電人材”の確保を強化してきた。

3月末に開かれた決算会見で似鳥昭雄会長は、「家電の開発者は今30人くらいで、かなり増えている。アイリスオーヤマみたいな家電の開発を進めていきたい」とコメント。その言葉通り、業界関係者によればニトリはこの1年ほど、東芝やシャープといった大手家電メーカー出身者を続々と採用している。

家具と同様、シンプルなデザインと低価格を売りにしているニトリの家電(編集部撮影)

現状のニトリのPB家電は、都市部などで1人暮らしを始める社会人や学生を狙った比較的小型の新生活用家電が主軸。本来ニトリが強みとする、郊外・ファミリー向けの大型家電に関してはまだ伸びしろが大きい。

ただ、大型家電を拡充するには社内の開発体制の強化が欠かせない。「商品の色づかいなどはニトリも得意とするところだが、配線や電気基板の設計は難しい」(業界関係者)。実際、今年に入ってからもニトリは求人サイト上で、白物家電の開発における品質評価や特許・商標などの調査を行う人材を募集している。

メーカー出身者がチャレンジしやすい環境

異業種企業が家電メーカー社員を引き抜く動きは珍しくない。もともと生活用品などを製造していたアイリスオーヤマは、パナソニック出身者らを採用し、価格と機能のバランスにこだわった調理家電などの開発に乗り出した経緯がある。

ベビー・子ども用の衣服・雑貨を展開する西松屋も、パナソニックやシャープといったメーカー出身の技術者を採用して、ベビーカーなどの機能性の高いPBの開発を強化してきた。

ニトリへの転職は、家電メーカー出身社員にとっても悪い話ではないだろう。あくまで自社店舗での販売が中心のニトリでは、競合メーカーとの熾烈なシェア争いなどに悩まされることもなく、メーカー出身者が自身の企画にチャレンジしやすい環境を提供できる。

足元では、事業会社ニトリの武田政則社長を中心とした、家電のプロジェクトチームも走り出したもようだ。商品畑を長く歩んできた武田氏のマーケティング能力を、家電にも集中投下していくとみられる。

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